【労働経済】パートや派遣社員、スキル評価に共通基準 人材4団体の組織

人材派遣・請負など人材サービス4団体の横断組織「人材サービス産業協議会」はパートや派遣社員など有期雇用者の業務スキルを国で定めた共通基準で評価する制度の構築を進めます。2012年8月7日、理事長に選ばれた中村恒一氏(リクルート相談役)が官民で協力して取り組むことを明らかにしました。

中村理事長は有期雇用者が全雇用者の2割強にあたる1200万人にまで拡大した一方、「意欲ある人の働きぶりなどの評価が不十分だった」と話しています。正社員に比べてキャリア支援が遅れていたことを認めています。

そこでパートや派遣社員などの有期雇用者がこれまでに携わった業務スキルを評価・蓄積して、次の就労先の確保につながる制度を「産・官・学が連携して築きたい」と話しています。人材情報の共通データベースを構築するなどの案があるといいます。

協議会で複数の分科会を立ち上げて、検討を始めました。10人程度のメンバーの半数は労使関係者や学識者、行政関係者で構成されています。1年後をメドに提言案をまとめ、産業界などと協議していく考えです。ニートなど就労経験がない若者の評価制度も検討するということです。

また、今後は新卒一括採用と年功制をベースとした従来形の雇用モデルが崩れ、有期雇用と中高年の転職がさらに拡大すると予測しています。これまでは同一の業種や職種内での人材移動が中心でしたが、評価制度の構築で医療や介護、新エネルギーなど成長領域での雇用拡大につながるとみています。

人材サービスは法規制や、派遣業務の打ち切り批判から企業からの受注が減り、打撃を受けた経緯があります。行政の法規制に関しては「労働者の働き方は多岐にわたり、一律での規制はそぐわない」と述べました。