【労働経済】人材サービス各社 、大企業中高年層の就労支援事業を強化

人材サービス各社が大手企業出身の中高年層の就労支援事業を強化します。アデコ(東京・港)は人材派遣の登録者を2015年に現在の8倍近い1万人まで拡大するということです。インテリジェンスも経営顧問を紹介するサービスに力を入れるそうです。厚生年金の支給開始年齢引き上げで働く意欲のある高齢者らは今後も着実に増加するとみて、経営課題を抱える中堅・中小企業への派遣を事業の柱に育てていきます。

アデコは40代半ば以上の人材派遣「エキスパートスタッフィング」の登録者を現在の約1300人から15年に1万人まで増やすということです。専門スキルを持つ大企業の早期退職者らを中小企業などに派遣します。経営戦略や財務会計などを指導します。時給制による派遣で、外部のコンサルタントを雇うよりも柔軟に活用でき、コストも安いといいます。

働く側も一般的な時給が3500~5000円程度と比較的高い収入を得られます。月収はどの程度、派遣ニーズがあるかによって大きく左右されますが、自分の専門性を生かした仕事を続けることができる魅力があります。

大手企業の人員削減を受けて中高年の有能な人材で離職者が増えています。東京商工リサーチの調査によると、今年1月から11月までの主な上場企業の希望・早期退職の募集人数は1万6779人で、11年累計の約1.9倍となっています。さらに13年度から始まる厚生年金の支給開始年齢引き上げに伴い、就労意欲の高い高齢者が増えるとアデコはみています。

アデコのほかにも、インテリジェンスは経営顧問の紹介サービス「i―common(アイコモン)」の登録者を現在の約1500人から1年後に3000人に増やします。中小企業などが新規事業の立案や営業力強化など経営課題ごとに契約できます。料金は定額制で月額25万円から設定するということです。

現在の登録者の平均年齢は56歳で、上場企業を退職した部長級以上が多く登録しています。これまでに顧問として約40人が中小企業に就職するのを仲介した実績もあります。年内に300社から業務改善についてのコンサルティングの受注を見込みます。

パソナグループは中高年の就労を支援する子会社の日本雇用創出機構(東京・千代田)を通じて事業拡大を狙います。現在、大企業の退職者約650人が登録、今後も登録者を増やす方針です。

特に中小企業は長引く景気低迷や円高などで収益環境が厳しくなっています。このため、経営企画など重要な部門で人材派遣を求める動きが広がっています。12年版「中小企業白書」によれば、定期的な経営相談を受ける企業では直近5年間の利益が増益となる傾向が見られました。