【労働法】胆管がんで初めて 印刷会社の16人に労災認定

大阪中央労働基準監督署は3月27日、大阪市中央区の印刷会社「SANYO―CYP(サンヨー・シーワィピー)」で働いて胆管がんになった16人(うち8人死亡)を労災認定し、決定通知書を遺族や患者に送りました。厚生労働省の検討会が14日、労災認定すべきとの報告書をまとめ、同署が認定手続きを進めていました。胆管がんでの労災認定は初めて。認定者のうち5人は、従来の基準では死後5年の時効のため対象となりませんが、胆管がん発症の可能性について国なども認識していなかったとして時効が適用されませんでした。

問題は昨年5月、産業医科大学の熊谷信二准教授による疫学調査で表面化し、厚労省は9月、胆管がん発症者の労災認定に関する専門家検討会を発足。検討会は、印刷機械に付着したインクを落とす洗浄剤に含まれる化学物質「1、2ジクロロプロパン」に長時間、高濃度でさらされたことが胆管がん発症につながった可能性が高いと指摘しました。

16人はいずれも男性で、20代1人、30代7人、40代8人。平均36歳で発症、37歳で死亡しており、国内の胆管がん死亡者のほとんどが50歳以上であることと比べて、死亡年齢が大きく下回っているといえます。

同社ではこのほかに、30代の元従業員が労災申請中で17人目の認定となる可能性が高いとみられています。また、同社以外にも宮城、福岡両県の印刷会社の従業員ら計47人(うち32人死亡)が労災申請しており、検討会が今後、審議を進めます。