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【働き方改革】働き方改革関連法で労働基準法などの改正に関する通達を公表

働き方改革関連法による労働基準法などの改正について、平成30年9月7日付けで発出された通達が、厚生労働省から公表されました(平成30年9月19日公表)。

今回公表されたのは、次の3本です。
●働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年基発0907第1号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T180919K0010.pdf

●働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法及びじん肺法の施行等について(平成30年基発0907第2号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T180919K0020.pdf

●働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の施行について(平成30年基発0907第12号・雇均発0907第2号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T180919K0030.pdf

最初に紹介した「・・・労働基準法の施行について」では、フレックスタイム制、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の時季指定義務などについて、行政側の解釈が示されています。たとえば、次のようなものです。
例)
・労使当事者は、36協定において限度時間を超えて労働させることができる場合を定めるに当たっては、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、「業務の都合上必要な場合」、「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められない。
・年次有給休暇の時季指定義務に係る時季指定を半日単位で行うことも差し支えない。この場合において、半日単位の年次有給休暇の日数は0.5日として取り扱う。

詳しくは、各通達をご覧ください。

【労働経済】裁量労働制で労基署が是正勧告 不適切な労使協定

「東京都内のある建築設計事務所が、専門業務型の裁量労働制を導入するための労使協定を適切に締結していなかったなどとして、中央労働基準監督署(東京)から、当該裁量労働制の適用は無効と指導され、是正勧告を受けていたことが分かった。」といった報道がありました(是正勧告は、平成30年9月6日付)。
同月18日に、その裁量労働制の対象となっていた労働者とこれを支援する労働組合が記者会見を開き明らかにしたものです。

労働者側によると、その労働者は、みなし労働時間を1日8時間とする専門業務型の裁量労働制を適用され、残業が月80時間を超えることが大半だったということです。

専門業務型の裁量労働制を導入するためには、会社側が、労働組合か労働者の過半数に多数決などで選ばれた労働者(労働者の過半数を代表する者)と、労使協定を結ぶ必要がありますが、同社は、会社が指名した者を労働者側の代表者として労使協定を結んでいたようです。
労働基準監督署は、この協定に基づく同制度の適用を無効と判断。
労働者に違法な残業をさせ、残業代を支払わなかったとして、是正勧告をしました。

その労働者の未払い残業代は、過去2年間で約700万円で、同社には同じ労使協定で裁量労働制を適用された社員が約80人いるということです。

労働基準法には、労使協定を導入要件とする制度がいくつかありますが、その前提となる労使協定の締結相手を適切に選出する必要がありますね。

【確認】 労使協定(36協定もその一種です)は、使用者(会社)が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは「労働者の過半数を代表する者」と締結する必要があります。
今回、問題となったのは、「労働者の過半数を代表する者」で、これが会社が指名した者だったということです。
従来から、その選出方法は、厚生労働省令(労働基準法施行規則)に規定されていましたが、この度の働き方改革関連法による改正の一環で、次のような改正が行われます(施行は、平成31(2019)年4月1日)。
●労働者の過半数を代表する者は、労使協定をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、『使用者の意向に基づき選出されたものでないこと』(『 』のような要件を追加)

省令にも明記されましたので、くれぐれも、使用者(会社)の意向を持ち込まないようにして選出するようにしましょう。
〔参考〕省令改正条文(平成30年9月7日公布))
https://www.mhlw.go.jp/content/000350655.pdf
※興味があれば、労働基準法施行規則の第6条の2(1項2号)の改正規定をご覧ください。

【年金・医療】健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大 本格的な議論を開始

厚生労働省から、平成30年9月14日に開催された「第4回社会保障審議会年金部会」の資料が公表されました。
今回の主要な議事は、「被用者保険の適用拡大」です。

被用者保険(健康保険・厚生年金保険)については、平成28年10月から、短時間労働者への適用拡大が図られましたが、その範囲をさらに拡大してはどうか? というのがこの議論です。
短時間労働者や高齢者が、本人の希望に応じて意欲や能力を活かし就労していく中で、年金制度の担い手になることにより、老後の所得保障を確保する仕組みを目指すという方向性の一つです。

具体的には、平成28年10月からの短時間労働者への適用の5要件((1)週労働時間20時間以上、(2)月額賃金8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)、(3)勤務期間1年以上見込み、(4)学生は適用除外、(5)従業員501人以上の企業等)を、見直して、更なる適用拡大を図ろうとするものです。
どこを、どのように見直すのか、今後の動向に注目です。

さらに、2つ以上の事業所に勤務する者の労働時間を通算することなどについても検討が進められることになりそうです。

今後、平成31(2019)年9月までに更なる適用拡大について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を実施するとのことです。
各企業に大きな影響を及ぼす事項ですから、しっかりとした議論を行って欲しいですね。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<第4回社会保障審議会年金部会>
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00002.html

【働き方改革】年休の新たなルール 時季指定義務に関するリーフレットを公表(厚労省)

働き方改革関連法による労働基準法の改正により、年次有給休暇について、時季指定義務制度が設けられ、2019 (平成31)年4月から施行されます。

【確認】時季指定義務
すべての企業におい て、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち「年5日」については、使用者が時季を指定して取得させることを義務付けるもの。
※労働者が自らの時季指定または計画的付与により取得した年次有給休暇の日数は、使用者が時季指定すべき「年5日」から除く。=年次有給休暇をその年に5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者よる時季指定は不要。

この度、この時季指定義務をわかりやすく説明したリーフレットが公表されました。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<リーフレット/年次有給休暇の時季指定義務について>
https://www.mhlw.go.jp/content/000350327.pdf

【労働法】新36協定 指針に関するリーフレットと様式の記載例を公表(厚労省)

働き方改革関連法による労働基準法の改正により、36協定で定める時間外労働について、罰則付きの上限が設けられ、2019 (平成31)年4月から施行されます(中小企業への適用は1年遅れ)。
この改正の一環として、厚生労働省では、時間外労働及び休日労働を適正なものとすることを目的して、36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関して、新たな指針を策定しました。

この度、この指針をわかりやすく説明したリーフレットが公表されました。
加えて、この改正により改められた36協定の様式の記載例も公表されました。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<リーフレット/36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針について>
https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf
<36協定記載例(一般条項)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000350328.pdf
<36協定記載例(特別条項)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000350329.pdf

【労働法】育休復帰後の雇止めは無効 地裁で慰謝料などの支払い命令

「育児休業の取得後に正社員から契約社員にさせられた上、雇止めされた女性が、妊娠や出産を理由とする嫌がらせ「マタニティーハラスメント(マタハラ)」にあたり違法だなどとして訴えた裁判で、平成30年9月11日、東京地裁が雇い止めは無効とする判決を言い渡した」といった報道がありました。

裁判長は、会社の対応は不法行為にあたるとして慰謝料など110万円の支払いを命じ、雇い止めも無効と認定しました(雇止め後の未払い賃金の支払も命令)。

判決によると、女性は、同社に勤務中に出産し、育児休業を取得しました。当時は保育所が見つからなかったため、育児休業の終了後には有期契約の社員とされました。

その後、保育所が見つかったため、女性は正社員への復帰を求めましたが、会社がこれを拒否。その有期契約の期間満了をもって雇止めとなりました。

なお、正社員への復帰を求めた際に、面談した上司の男性から、「俺は彼女が妊娠したら、俺の稼ぎだけで食わせる」などと言ったそうです。
さすがにこの発言は、時代錯誤も甚だしいといった感じですね。

このような発言を含め、どのような対応がマタハラに当たるのか、企業としては、きちんと認識しておく必要がありますね。

厚生労働省の次のページで、今一度確認しておきましょう。
<職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137178.html

【働き方改革】同一労働同一賃金ガイドライン 派遣労働者に関する部分のたたき台を提示

厚生労働省から、平成30年9月10日に開催された「第10回労働政策審議会 職業安定分科会/雇用・環境均等分科会/同一労働同一賃金部会」の資料が公表されました。

今回の合同部会では、「同一労働同一賃金ガイドライン」のうち、派遣労働者に関する部分のたたき台が提示されました。
働き方改革関連法による労働者派遣法の改正(不合理な待遇差を解消するための規定の整備)の内容も考慮して、派遣労働者に関する均等待遇規定・均衡待遇規定の解釈の明確化を図る内容となっています。

今後も、この合同部会で検討を重ね、同一労働同一賃金ガイドラインを取りまとめることとしています。

今後の動向に注目です。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<第10回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用・環境均等分科会 同一労働同一賃金部会/資料>
≫ https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000176596_00004.html

【働き方改革】働き方改革関連法に関する政省令等 正式に決定(官報に公布)

働き方改革関連法の主要な規定に対応する政省令等について、諮問や答申が行われたことをお伝えしていましたが、これらが正式に決定され、平成30年9月7日の官報に公布されました。

今回公布されたのは、働き方改革関連法による改正事項のうち、2019(平成31)年4月1日から施行されるものに対応する政省令等です(ただし、高度プロフェッショナル制度に関する部分は、後日規定)。
今後、本日公布された政省令等の内容を、分かりやすくまとめた資料などが公表されることになると思いますが、ひとまず、官報の該当ページを紹介させていただきます。

具体的に、次のような政省令等が公布されました。

注.直近30日分の官報情報は、全て無料で閲覧できます(その期間が過ぎると、無料での閲覧は不可)。
●働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令(平成30年政令第253)
https://kanpou.npb.go.jp/20180907/20180907h07344/20180907h073440002f.html
※働き方改革関連法による労働基準法等の改正に伴う必要な経過措置等を定めるもの。

●働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成30年厚生労働省令第112号)
https://kanpou.npb.go.jp/20180907/20180907g00197/20180907g001970001f.html
※働き方改革関連法の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等を行うもの。

●働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係告示の整理に関する告示(平成30年厚生労働省告示第322号)
https://kanpou.npb.go.jp/20180907/20180907g00197/20180907g001970053f.html
※働き方改革関連法の施行に伴う厚生労働省関係告示の整理を行うもの。

●労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針(平成30年厚生労働省告示第323号)
https://kanpou.npb.go.jp/20180907/20180907g00197/20180907g001970055f.html
※36協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項その他の必要な事項を定めるもの。

●事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針の一部を改正する件(平成30年厚生労働省告示第324号)
https://kanpou.npb.go.jp/20180907/20180907g00197/20180907g001970057f.html
※事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針に関し、労働条件明示に係る規定の整理を行うもの。

【労働法】年休を前倒しで付与した場合の年休時季指定義務の特例の概要を提示

厚生労働省から、平成30年8月9日に開催された「第145回労働政策審議会労働条件分科会」の資料が公表されました。

その中で、平成31年4月1日から施行される「年次有給休暇の時季指定義務」について、年休を前倒しで付与した場合の特例に関する資料も公表されています。

この特例は、省令(労働基準法施行規則)で規定することとされており、今回公表された資料では、省令の条文案に沿って、その内容が説明されています。

【確認】時季指定義務とは?
10日以上の年休が付与される労働者に対し、そのうち5日については、毎年、使用者が時
季を指定して取得させなければならないこととするもの。ただし、労働者の時季指定や計画
的付与によって労働者が取得した年休の日数分については、指定の必要はありません。

<年休を前倒しで付与した場合の特例の概要>
企業によっては、年休を入社日から前倒しして付与する場合や、全社的に年休の起算日を合わせる場合(分割付与や基準日の斉一的取扱いなどを採用する場合)もあります。

このようなケースの際に、時季指定義務の規定をどのように適用するのかを定めるのが、この特例です。

具体的には、次のように規定する案が示されています。

●年休の付与を入社日に前倒しする場合は、その入社日を起算日として1年間で年5日分、取得させなければならない。

●入社日に5日付与し、6か月後に残り5日を分割して付与するようなケースでは、年休の付与日数が10日に達した入社6か月経過後時点を起算日として、それから1年間を時季指定義務の履行期間とする。

なお、その場合で、入社から6か月を経過する前に労働者が取得した年休があれば、その日数を含めて5日までの時季指定でよい。

●一方、全社的に起算日をそろえる場合は、年休の付与日が異なることで一時的に5日の時季指定義務の履行期間に重複が生じ、年休の取得状況の管理が複雑になることが考えられる。

そこで、「最初に10日の年休を付与した日から、1年以内にある新たに10日の年休を付与した日(全社的起算日)から1年を経過するまでの期間」の長さに応じた比例付与を認める。

労使ともに今回示された内容に特に異議はないようで、同省は平成30年9月にも、省令を改正し、この特例を規定する考えのようです。

詳しくは、こちらをご覧ください。
図解入りで丁寧に説明されています。

<第145回労働政策審議会労働条件分科会資料/年休を前倒しで付与した場合の年休時季指定義務の特例について(案)>
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000344355.pdf

【労働経済】時間外労働の上限規制に対応した新36協定の様式案を提示

厚生労働省から、平成30年8月9日に開催された「第145回労働政策審議会労働条件分科会」の資料が公表されました。
その中で、平成31年4月1日から施行される時間外労働の上限規制(中小企業への適用は1年遅れ)に対応した、36協定の新たな様式案が示されています。
〈補足〉36協定の新たな様式案は、省令(労働基準法施行規則)に規定されるため、省令の改正が必要となります。

新たな様式では、時間外労働の上限規制が主に「1か月」と「1年」について定められていることから、36協定で定める延長時間も1日のほか、1か月、1年の区分で固定。
これまでの「1日を超えて3か月以内の期間」などの区分から見直されます。
また、1か月や1年の起算日についても新たに枠を設けて明記させることにしています。

他方、休日労働を含めて単月100時間未満、2か月から6か月平均で80時間以内の上限の遵守に関しては、1か月、1年についての延長時間の記載だけでは直ちに確認できないことから、新たにチェックボックスを設けて労使に遵守を求めるようになっています。

そして、特別条項付き36協定の様式も省令で規定されます。
臨時的に限度時間を超えて労働させる場合の延長時間を1日(任意)、1か月、1年について定めるほか、限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康確保措置を定めことになっています。
健康確保措置は、新たに策定されることになっている「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」第8条で列記された項目から1つを選んで記入することになっており、具体的には、①医師の面接指導、②深夜労働の回数制限、③一定の勤務間インターバルの確保など9項目があります。

労使とも様式案などにはおおむね了承しているようで、同省は平成30年9月にも、省令を改正し、時間外労働の上限規制に対応した36協定の新様式を公表・周知していく考えのようです。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<第145回労働政策審議会労働条件分科会資料/時間外労働の上限規制関係>
・時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)様式(案)
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000344353.pdf
・時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)様式(案)〔特別条項用込み〕
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000344354.pdf
・労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針案(イメージ)
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000344352.pdf