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【働き方改革】働き方改革関連法の全体像を紹介した通達を公表

厚生労働省から、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について(平成30年7月6日基発0706第1号・職発0706第2号・雇均発0706第1号)」が公表されました(平成30年8月13日公表)。
これは、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(いわゆる働き方改革関連法)の公布時に発出されたもので、細かな内容を説明するものではありません。
しかし、全体像を把握できる内容となっていますので、是非ご確認ください。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について(平成30年7月6日基発0706第1号・職発0706第2号・雇均発0706第1号)」>
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T180813K0010.pdf

【年金・医療】国民年金保険料の産前産後期間の免除制度 日本年金機構からお知らせ

日本年金機構から、「平成31年4月から国民年金保険料の産前産後期間の免除制度が始まります」というお知らせがありました(平成30年8月10日公表)。

以前からお伝えしていますが、平成31年4月1日から、国民年金の第1号被保険者の保険料の産前産後期間の免除制度が施行されます。
政省令も公布されましたので、その内容も加味した説明がされています。

なお、申請方法についても説明されていますが、申請書は、提出ができる平成31年4月から年金事務所または市(区)役所・町村役場の国民年金の窓口に備え付けるとのことです。

また、平成31年4月以降から日本年金機構ホームページなどからもプリントアウトすることができるようにする予定のようです。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成31年4月から国民年金保険料の産前産後期間の免除制度が始まります>
http://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20180810.html

【労働経済】賃金不払残業に関する監督指導 平成29年度の是正企業数は1,870企業(前年度比521企業の増)

厚生労働省は、都道府県労働局に設置されているすべての地方最低賃金審議会が、平成30年8月10日までに答申した平成30年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめ公表しました(平成30年8月10日公表)。

これは、平成30年7月26日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「平成30年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会で調査・審議した結果を取りまとめたものです。

【平成30年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント】
●改定額の全国加重平均額は874円(昨年度848円)

●全国加重平均額26円の引上げは、最低賃金額が時給のみで示されるようになった平成14年度以降最大の引上げ

●最高額(東京都985円)に対する最低額(鹿児島県761円)の比率は、77.3%(昨年度は76.9%。なお、この比率は4年連続の改善)、

また、引上げ額の最高(27円)と最低(24円)の差が3円に縮小(昨年度は4円)

●東北、中四国、九州などを中心に中央最低賃金審議会の目安額を超える引上げ額が23県(平成27年度以降最多。昨年度は4県)

答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、平成30年10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定です。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<すべての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました~答申での全国加重平均額は昨年度から26円引上げの874円~>
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000174622_00001.html

【労働法】年休を前倒しで付与した場合の年休時季指定義務の特例の概要を提示

厚生労働省から、「平成29年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果」が公表されました(平成30年8月10日公表)。
この是正結果の公表は、平成14年度から毎年度行われているものです。

今回公表されたのは、全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成29年4月から平成30年3月までの期間に不払いだった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。

【平成29年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント】
●是正企業数⇒1,870企業(前年度比 521企業の増)
うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、262企業(前年度比 78企業の増)

●対象労働者数⇒20万5,235人(同 107,257人の増)

●支払われた割増賃金合計額⇒446億4,195万円(同 319億1,868万円の増)

●支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり2,387万円、労働者1人当たり22万円

支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり2,387万円ということで、とても大きな金額です。日頃から、労働時間は適正に把握しておく必要があります。

監督指導の対象となった企業では、その監督指導のもと、定期的にタイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか確認するなど、賃金不払残業の解消のためにさまざまな取組を行い、改善を図っているようです。

厚生労働省では、引き続き、賃金不払残業の解消に向け、監督指導を徹底していくとのことです。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成29年度)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00831.html
※上記のリンク中の【別紙3】では、「賃金不払残業の解消のための取組事例」も紹介されています。

【労働経済】平成30年度の最低賃金 全国加重平均で26円の引上げを提示

平成30年7月26日に開催された第51回中央最低賃金審議会で、平成30年度の地域別最低賃金額改定の目安について、答申の取りまとめが行われました。
その内容が厚生労働省から公表されました。
今年度の目安で示された引上げ額は、最高27円(Aランク)~最低23円(Dランク)、全国加重平均では「26円」となっています。

目安額どおりに最低賃金が決定されれば、最低賃金が時給で決まるようになった 平成14年度以降で最高の引上げとなります。
また、全都道府県で20円を超える目安額となっており、引上げ率に換算すると3.1%(昨年度は3.0%)となっています。

この答申は、「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会」において4回にわたる審議を重ねて取りまとめられた「目安に関する公益委員見解」等を、地方最低賃金審議会に示すものです。

今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、 各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成30年度地域別最低賃金額改定の目安について>
≫ https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172722_00001.html

【働き方改革】働き方改革関連法の成立を受けて リーフレット等を公表

働き方改革関連法の成立を受けて、法律の概要を紹介するリーフレットが公表されました(平成30年7月19日公表)。

詳しくは、こちらをご覧ください。
これは、岐阜労働局から公表されたものです。
相談窓口の連絡先が岐阜県になっているところもありますが、内容は大いに参考になるものとなっています。
<働き方改革関連法のリーフレット等(法律の概要)
・簡易版 https://jsite.mhlw.go.jp/gifu-roudoukyoku/content/contents/000263774.pdf
・詳細版 https://jsite.mhlw.go.jp/gifu-roudoukyoku/content/contents/000263777.pdf

【労働経済】過労死・過労自殺 平成29年度の労災支給決定件数は横ばいの190人

厚生労働省から、平成29年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました(平成30年7月6日公表)。

これによると、平成29年度において、過労死や過労自殺(未遂を含む)で労災認定され、支給決定を受けた人が計190人という結果でした。
死亡以外の支給決定も含めて、もう少し詳しくみてみると、次のとおりです。

●脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
くも膜下出血や心筋梗塞などの「脳・心臓疾患」による支給決定(労災認定)件数は、253件で前年度比7件の減。
そのうち、死亡(過労死)の件数は、92件で前年度比15件の減。
●精神障害に関する事案の労災補償状況
仕事のストレスなどを原因とする「精神障害」による支給決定(労災認定)件数は、506件で前年度比8件の増。
そのうち、自殺(未遂を含む)の件数は、98件で前年度比14件の増。

〈補足〉調査結果では、時間外労働時間別の支給決定件数や出来事別の支給決定件数なども明らかにされており、「脳・心臓疾患」や「精神障害」の背景に、長時間労働(「精神障害」については、いじめ・嫌がらせを含む)があることが分かります。

なお、今回の調査では、平成29年度の裁量労働制対象者に関する労災補償状況も、次のように明らかにされています。
・裁量労働制対象者に関する脳・心臓疾患の支給決定件数は4件で、すべて専門業務型裁量労働制対象者に関する支給決定。
・精神障害の支給決定件数は10件で、うち専門業務型裁量労働制対象者に関する支給決定が8件、企画業務型裁量労働制対象者に関する支給決定が2件。

裁量労働制対象者に関する支給決定件数は、裁量労働制を採用する企業割合が低いことを考えると、決して少ないとは言えないと思いますが、これをどう判断するのでしょうか。
今後の裁量労働制の適用拡大の議論の行方にも注目です。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成29年度「過労死等の労災補償状況」を公表します>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00039.html

【その他】副業や兼業の労災 議論開始(労政審労災分科会)

厚生労働省から、平成30年6月22日に開催された「第70回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」の資料が公表されました。

議題は、「複数就業者への労災保険給付の在り方について」などでした。

政府は、原則として、副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図ることとし、平成30年1月からは、「副業・兼業の促進に関するガイド
ライン」、「改訂版モデル就業規則」の周知も行われています。

副業・兼業が普及した場合に問題となる労災保険給付について、議論を進めて行こうというのが、今回の分科会です。

論点は、おおむね次のとおりです。

●給付額
複数就業者の全就業先の賃金合算分を基に労災保険給付を行うか否か。

行う場合、労働基準法の災害補償責任についてどう考えるか。
●労災認定
複数就業者の全就業先の業務上の負荷を合わせて業務起因性の判断を行うか否か。結果的に労災保 険給付を行う場合、労働基準法の災害補償責任についてどう考えるか。

労働者代表の委員からは「労働者保護の観点から積極的に検討してほしい」などの意見が出たようです。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<第70回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会>
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212655.html

【働き方改革】人手不足等への対応に関する調査の集計結果を公表(日商)

日本商工会議所から、「人手不足等への対応に関する調査」の集計結果が公表されました(平成30年6月7日公表)。
この調査は、中小企業を対象としたものです。
この調査における集計結果では、人員の過不足状況について、全体の65.0%の企業で「不足している」と回答しており、昨年度調査と比較して約5ポイント不足の割合が上昇し、4年連続で悪化しているとのことです。
業種別に見ると「宿泊・飲食業」、「運輸業」、「建設業」で人手不足感が強く、昨年調査と同様の結果となっています。

さまざまな調査において、人手不足の状況が浮き彫りになっていますが、この調査もその一つです。

なお、この調査では、次のような集計結果も明らかにされています。
①人手不足により人員の充足が難しい中、事業活動を維持するために講じている取り組みは、「既存の業務を効率化する(ICT化、標準化等)」が最も多い(45.4%)。
②一方、「残業、休日出勤等で対応」が39.6%、「経営者や管理職が作業を補う」が33.9%挙げられていることから、深刻な人手不足の中で、限られた人員で何とか事業活動を維持している実態が窺える。

②の結果は、中小企業が抱える問題を表したものといえそうですね。
②のような対応でしのいでいる企業におかれましては、まずは、①のような対応を検討をしてみるとよいかもしれませんね。

調査の集計結果については、詳しくは、こちらをご覧ください。
ここで紹介したもののほかにも、参考となる集計結果が掲載されているかもしれません。
<「人手不足等への対応に関する調査」集計結果について>

https://www.jcci.or.jp/cat298/2018/0607143508.html

【判例】非正規の待遇格差訴訟 最高裁が初判断

有期雇用の契約社員や定年後に再雇用された嘱託社員が「仕事内容は変わらないのに正社員と賃金格差があるのは違法だ」として、会社側に是正を求めた2件の訴訟の上告審について、最高裁が、平成30年6月1日に判決を言い渡たすことになっていましたが、その判決がありました。

いずれも労働条件の不合理な格差を禁じた労働契約法20条の解釈が争点で、これについて最高裁が判断を示すのは初めてということで、注目を集めていたものです。

2件の事件とその判決の概要は次のとおりです。
①物流会社「ハマキョウレックス」の契約社員の運転手が「住宅手当などが正社員にのみ支給されるのは不当だ」と訴えた裁判。

一審の地裁の判決(平成27年9月)では、通勤手当の格差のみ不合理と認めたが、二審の高裁の判決(平成28年7月)では、無事故手当や給食手当などの格差も不合理と判断。

⇒今回の最高裁の判決では、これまでに格差が不合理と判断された通勤手当などの4つの手当に加え、皆勤手当についても、正社員に支給しながら契約社員に支給しないのは「不合理」と判断(合理的とする高裁判決は破棄し、事実関係を精査するため同高裁に差し戻し)。

一方、住宅手当については、正社員と契約社員の間に転勤の有無など差があることを踏まえ、契約社員に支給しないのは「不合理といえない」と原告の訴えを退けた。

②運送会社「長澤運輸」を定年退職後に再雇用された運転手3人が、「定年前と同じ仕事なのに給与が引き下げられたのは不当だ」と訴えた裁判。

一審の地裁の判決(平成28年5月)では、「再雇用制度を賃金コスト圧縮手段に用いるのは正当ではない」と判断。しかし、二審の高裁の判決(同年11月)では、「賃下げは社会的に容認されている」と指摘し、正当と判断(運転手側逆転敗訴)。

⇒今回の最高裁の判決では、正社員と非正規社員の賃金格差が不合理かどうかは、「賃金総額の比較のみではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」とする判断を示した。
その上で、精勤手当については「相違は不合理である」と支払いを命じたが、その他の基本給や大半の手当については、3人に近く年金が支給される事情などを踏まえ、格差は「不合理ではない」として請求を退けた(精勤手当に連動する超勤手当については、事実関係を精査するため高裁に差し戻し)。

原告側の代理人の弁護士は、「非常に残念な判決」とコメントしたとのことです。

確かに、これまでの解釈が大幅に変更されるという内容の判決ではなかったといえそうです。
判決の概要は上記のとおりです。

詳しく知りたい場合は、こちらをご覧ください。
<裁判所ホームページ(最高裁判所判例集)>
●平成30年6月1日最高裁判所第二小法廷判決
未払賃金等支払請求事件(いわゆるハマキョウレックス事件)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87784

●平成30年6月1日最高裁判所第二小法廷判決
地位確認等請求事件(いわゆる長澤運輸事件)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87785

〔参考〕これらの訴訟で、訴えの根拠となっているは、平成25年4月から施行されている労働契約法20条です。その概要は次のとおりです。
<労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)/「労働契約法改正のあらまし」より)>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/pamphlet07.pdf