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【年金・医療】消えた年金なお4割 2222万件、未解決で幕引きも

自民党の安倍晋三政権時代に当時野党の民主党が暴いた「消えた年金」問題ですが、持ち主不明の年金記録、約5100万件のうち民主党政権で6割が解明されていたことがわかりました。残りの4割はなお持ち主が分かりません。今回の総選挙ではほとんど忘れ去られており、未解決のまま幕引きとなる可能性もありま す。

消えた年金問題は、年金保険料を納めた記録が旧社会保険庁にしっかりと保存・管理されずに起きたものです。本来よりも少ない額が支給されている年金の支給漏れも疑われています。民主党の指摘を受け、自公政権が2007年から解明をはじめました。2009年9月からの自民党政権は2010年~2013年度を集中処理機関として急ピッチで解明してきました。

消えた年金の4割の2222万件を解明するのはそう簡単ではなく、現在調査を進めている記録は5万件にすぎず、持ち主の手がかりさえつかめていない記録が962万件もあるそうです。

民主党政権が掲げた集中処理期間は2013年で終了します。その後はねんきんネットを使ってを使って自主的に対応するよう呼びかける予定だそうです。

年金記録解明にかけた費用は2009年~2013年の合計で3,569億円に達します。例えば紙の記録台帳とコンピューター上の記録を突きわせる1人あたり約2,200円かかっています。60歳未満の加入者は記録が解明されても戻る年金は平均で年約4,000円です。民主党政権内ですら費用対効果の面から批判的な声があります。

【年金・医療】年金開始年齢が焦点 社会保障改革国民会議が初会合

政府は11月30日、今後の社会保障制度を検討する社会保障制度改革国民会議の初会合を開きました。議論の主な対象は年金、医療、介護、少子化で、制度の持続性を高めるための年金や高齢者医療改革が課題です。年金の支給開始年齢引き上げなど給付抑制策が議論の焦点になる見通しですが、衆院選後の政治情勢によって議論の行方は流動的だが、大胆な改革案を打ち出す役割が期待されます。

国民会議は民自公の3党合意で、2013年8月21日までの設置が決まっています。委員は首相が選びますが、3党が推薦名簿を出して調整した経緯があるだけに、人選には各党の思惑がにじんでいます。

年金は民主党が最低保障年金の創設を掲げ、自公は現行制度の改善を目指しています。民主と自公案の隔たりは大きく、国民会議の委員の間でも意見が割れている状態です。

民主党案に近い制度を提唱している案として、保険料の未納問題や無年金・低年金者が増える現行制度の問題点を解決するには、税金を財源とする最低保障年金が必要だとの考えが根底にあります。

一方、民主案に否定的で、現行制度の存続を主張する意見もあります。いずれにしても、現行制度でも給付抑制策は欠かせないといいます。

この場合、議論の焦点となるのが年金の支給開始年齢の再引き上げにあります。会長の清家篤慶応義塾長は「生涯現役社会」が持論で、現在の65歳から68歳への引き上げを提起したことがあります。清家会長は11月30日の記者会見で「議論は排除せず、中立的に取り上げる」と述べました。

年金額を抑制する「マクロ経済スライド」という現行ルールも論点の一つです。デフレ下では発動できないルールがあるため、「今後も物価や賃金の伸びが期待できない以上、デフレ下でも発動する仕組みが必要だ」とし、国民会議で議論する考えもあります。

医療では、医療の充実を求める医師と、高齢者の負担増を容認する学者との間の意見調整が難しい状況です。資産のある高齢者に負担増を求める立場だという意見に対し、「治すだけの医療から、医療と介護の連携など量的、質的な拡大が大事だ」とし、意見が対立しています。

民主党も自らの抜本改革案について、今回の衆院選マニフェストでは「3党合意に沿って、国民会議の議論を経た上で実現を目指す」と記すにとどめ、3年前のマニフェストより表現を後退させました。政権交代以降、年金や高齢者医療の改革が進みにくくなっていることもあり、厚労省内には「早く決着を付けて議論を前に 進めたい」との思惑もあります。

【年金・医療】協会けんぽ「総報酬割り」特例措置延長

厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会医療保険部会は28日、中小企業の従業員や家族が加入する全国健康保険協会の財政支援策の特例措置を延長する方針で大筋一致しました。

後期高齢者医療制度の財源は4割を現役世代の支援金で賄っています。支援金は各医療保険が加入者数に応じて負担するのが基本です。しかし、これでは中小企業向けの全国健康保険協会など、加入者数が多く給与水準の低い健保の負担が重くなります。厚労省は格差是正に向け、13年度から給与水準が高い健保ほど支援金額も高くなる総報酬割りを全面導入する意向でしたが、負担の増える大企業を中心に経済界の反発は強く同省は早期実施を断念ました。10?12年度の特例措置として支援金総額の3分の1を総報酬割りで徴収していますが、当面この特例を継続します。

【労働経済】完全失業率 横ばい 4.2%

総務省が30日発表した10月の労働力調査によると、完全失業率は3カ月連続で4.2%でした。

また、厚生労働省が同日発表した10月の有効求人倍率は、前月から0.01ポイント下がって0.80倍でした。

完全失業者数は273万人で、前月と同じです。うち、勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は9万人減、「自発的な離職」は6万人増加でした。

就業者数は6300万人で31万人増加しました。

【その他】アスベスト「石綿肺」労災、936事業場を公表

厚生労働省は28日、発がん性のあるアスベスト(石綿)で健康被害を受け、2011年度に労災認定などを受けた人が働いていた936事業場の名前を公表しました。今回の公表は前年度より50事業所多く、初公表は全体の7割を超す697事業場でした。石綿関連疾患の中で石綿肺は比較的多くの石綿を吸うことで発症するとされており、周辺住民にも注意喚起が必要として、患者団体が実態調査を求めていました。 

11年度に労災認定を受けた人は1105人。うち164人は認定時に亡くなっていました。今回の集計から、じん肺で労災認定された人のうち、石綿肺と判断された人数が加わっています。石綿肺は、従来は石綿疾患に集計されていませんでした。厚労省は患者団体の求めなどに応じて、労災認定が年間約800件あるじん肺について11年度から、エックス線写真などの医学資料や石綿の取り扱い状況を調査。その結果、個人事業主のため非公表の3人を含め、68人の労災認定者が石綿肺と分かりました。

これとは別に、労災の時効を過ぎた遺族には石綿健康被害救済法(石綿新法)に基づいて特別遺族給付金が支給されており、その認定数は39人でした。 

症状別では、肺がん423人▽中皮腫555人▽良性石綿胸水42人▽びまん性胸膜肥厚51人▽石綿肺73人。認定者数は累計で、1万82人にのぼります。 

認定者の勤め先は計1005事業場。事業場名が分からなかったり自営業だったりしたものは除きました。05年の初公表からの累計は6283事業場となりました。 

石綿の使用は現在禁止されていますが、1990年代まで建材などとして広く使われていました。石綿関連の病気は、石綿を吸い込んでから30~40年後に発症することが多く、今後も発症者の増加が予想されます。

【労働経済】2013年度の雇用保険料率、1.0%で据え置き

厚生労働省の諮問機関、労働政策審議会の雇用保険部会は27日、失業手当にあてる2013年度の雇用保険料率を現在と同じ1.0%とすることで合意しまし た。労働者と使用者がそれぞれ賃金総額の0.5%分ずつ負担することになります。今後、労政審の審議を経て、厚労相が告示します。 

雇用保険料率は原則1.4%ですが、雇用保険の財政状況に応じて1.0%まで引き下げられます。現在は積立金の残高が5兆円を超えているため、下限に据え置きます。 

使用者のみが負担する、労働者の能力開発や失業予防などの雇用保険二事業の保険料率も、0.35%のまま据え置きます。

【年金・医療】富士通、英子会社に1000億円拠出 年金積み立て不足の運用改善狙う

富士通は英国子会社の企業年金に1000億円規模で資金を拠出します。同子会社は多額の積み立て不足を抱えており、運用の元手になる資産を増やして運用改善を狙います。資金拠出額が今期決算で損失になるわけではありませんが、手元資金の減少につながります。海外企業の買収を通じたグローバル戦略が広がるな か、海外の年金への対応が課題として浮上してきました。

富士通は2013年3月期中に、英国子会社、富士通サービスの年金に資金を拠出します。1990年に買収した名門のコンピュータメーカーのICLが母体で、歴史が長く年金負担も重かったためです。前期末で約1000億円にのぼる海外子会社全体の不足額の大半は英子会社が占めます。海外分は富士通全体の不足額の約4分の1を占めるといいます。

日本の企業会計では、積立不足が増えた場合は基本的に一定期間で費用処理を行います。2014年3月期から積立不足を貸借対照表に計上するようになり、 自己資本比率の低下要因になります。富士通の資金拠出は運用資産を増やし高格付け債券などで積立不足の急増を抑える狙いがあるようです。

今回の資本拠出は会計上は資産の名目が替わるだけで、同額が損失になるわけではありません。反面、今期は投資などに回せる資金が減ることになります。海外年金が負担になる例は増えており、日立製作所は前期、欧州統括会社の年金に数十億円拠出している現状があります。

【年金・医療】厚年基金廃止に大半の委員賛成 厚生労働省専門委員会

厚生労働省は11月27日、厚生年金基金制度の廃止の是非を議論する専門委員会を開き、大半の委員が廃止に賛成しました。運用難から積み立て不足の解消が見えず、国から借りて運用している資産での損失拡大を止めたいとの意見が多かったようです。ただ、一部の委員からは財政が健全な基金まで一律に廃止することに反対意見も出ています。

厚労省は10年で厚年基金制度を廃止する案を提示しています。国から預かる「代行部分」で約1兆円の損失が生じています。「損失が拡大するリスクを止めるのは早いほうがいい」と指摘する意見もあり、連合などの代表者も同じ意見でした。

一方、「財政が健全な基金の受給者や加入者への給付を強制的に止めれば、厚労省が訴えられるリスクもある」という反対意見もあります。厚労省が厚年基金の財政問題を先送りしてきたという批判もあるようです。

【労働経済】非正規社員にも職業訓練の機会

厚生労働省は2013年度以降、パートやアルバイトなど非正規雇用の労働者向け職業訓練を本格的に始める方針です。いまの国の訓練制度は、再就職をめざす失業者を対象としたものが中心になっていて、学校を卒業してから一度も正社員として働いたことのない人向けの訓練は手薄でした。正社員との待遇格差を縮め、正社員としての就職を後押しするねらいです。

26日に開いた非正規雇用労働者の能力開発を検討する会議で報告書の骨子を示しました。訓練期間はいまの半年以下から1~2年まで延長し、企業の求める即戦力人材を育成できる体制づくりをめざします。

非正規社員にも正社員と同じように職業訓練を実施する企業向け助成制度も拡充します。職業能力を客観的に評価できるように、職務経歴書「ジョブカード」の見直しなども検討していくということです。