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【その他】「ハローワーク特区」、試験的に実施へ

2012年8月30日、小宮山洋子厚生労働相と佐賀県の古川康知事は国と都道府県がハローワークを一体的に運営する「ハローワーク特区」に関する協定を結びました。協定は、知事が若者の就労支援などの推進に必要と判断した場合、ハローワークを監督する労働局長に対し業務執行を直接指示できるとしています。国と都道府県による協定は初めてで、適用期間は2012年10月1日から3年程度の予定です。

政府は、国の出先改革の一環として「ハローワーク特区」を設ける予定です。埼玉、佐賀両県で試験的に行い、運営状況をみた上で事務や権限の地方移管などを検討することにしており、埼玉県とも2012年8月30日午後に協定を結びます。

【労働経済】7月の失業率、前月比横ばい=求人倍率は14カ月連続上昇―厚生労働省

2012年8月31日に総務省が発表した労働力調査によると、全国の7月の完全失業率(季節調整値)は4.3%と前月比横ばいでした。一方、厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0.01ポイント上昇の0.83倍となり、14カ月連続の改善となりました。

労働力調査の就業者(季節調整値)は3万人減の6269万人、完全失業者(季節調整値)は1万人増の282万人でした。

有効求人倍率は、求職者1人当たり企業から平均何件の求人があるかを示す。宿泊・飲食業や医療・福祉の求人が引き続き旺盛で、改善に影響しています。同倍率はリーマン・ショックが起きた2008年9月(0.83倍)に並び、ほぼ4年ぶりの高水準となりました。

厚生労働省ホームページ:一般職業紹介状況(平成24年7月分)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ib20.html

【労働経済】生活困窮対策で140億円を計上、就労支援相談窓口を展開―厚生労働省

2012年8月30日、厚生労働省は2013年度予算の概算要求のうち予算を重点配分できる特別枠に、生活困窮者の支援策として計約140億円を計上する方針を固めました。さまざまな相談を受け付け就労支援や家計再建などのサポートを行う窓口「総合相談支援センター」(仮称)のモデル事業を展開する費用などを取り入れています。

厚生労働省は、支援策の詳細を議論して今秋にまとめる「生活支援戦略」に明記する予定で、来年の通常国会での関連法案の提出も視野に入れています。

総合相談支援センターは自治体のほか、NPO法人や社会福祉法人などが運営。相談者に合わせた自立策を他機関とも連携して提供します。

【その他】印刷会社従業員の胆管がん 労災申請29人に

全国の印刷会社で従業員らが相次いで胆管がんを発症した問題で、厚生労働省は28日、仕事に関連して胆管がんになったとして労災を申請した従業員らは、この1か月間に11人増え、合わせて29人(うち死亡20人)になったと明らかにしました。11人の年代別の内訳は、30代2人、40代3人、50代1人、 60代4人、70代以上1人。この中には、多数の発症者が出ている大阪市の印刷会社「SANYO―CYP」の元従業員2人が含まれています。11人のうち9人は死亡しており、遺族が申請をしています。

この問題は、大阪や宮城県など、全国の印刷会社でインクの洗浄作業などに関わっていた従業員らが、相次いで胆管がんを発症したことが明らかになったものです。労災を申請していない人も4人いるということで、これで印刷会社に勤務して胆管がんを発症した人は、少なくとも33人になりました。

労災申請を認めるかどうかについて、厚生労働省は、印刷会社で使われていた洗浄剤と胆管がん発症との因果関係が明らかになっていないことから、9月上旬にがんや化学物質の専門家などによる検討会を設け、今年度中に医学的知見の報告書を取りまとめたいとしています。

【年金・医療】別の複数基金から100億円詐取容疑 AIJ社長ら3人再逮捕へ

AIJ投資顧問による年金資産詐欺事件で、同社が別の複数の年金基金からも計約100億円をだまし取った疑いが強まったとして、警視庁捜査2課が近く、社長の浅川和彦被告(60)=詐欺罪などで起訴=ら3人を詐欺容疑で再逮捕する方針を固めたことが29日、捜査関係者への取材で分かりました。3人はこれまでに東京や横浜、長野など全国の6つの年金基金から計100億円を詐取したとして逮捕、起訴されており、最終的な立件額は200億円を超える見通しとなり ました。

捜査関係者によると、他に再逮捕されるのは、同社取締役の高橋成子(53)、傘下のアイティーエム証券(ITM)社長の西村秀昭(56)の両被告=ともに同罪などで起訴。

3人は平成21年4月以降、AIJの年金資産運用が好調とする虚偽の資料を示すなどして、価値を大幅に水増ししたファンド(投資信託)商品を複数の年金基金に販売し、約100億円をだまし取った疑いが持たれています。

この時期、資産運用が悪化していたAIJは、顧客の年金基金から解約希望が相次ぎ、新規顧客の資産を運用せずに解約料に充てる自転車操業が常態化。3人は依然、容疑を否認していますが、捜査2課は、約100億円も運用に回されず、解約を希望する基金への解約金にあてていたとみて、調べを進める方針です。

【その他】メンタルヘルス不調者 4割超の企業で増加傾向

企業におけるメンタルヘルス不調者について、4割超の企業で「増加傾向」にあることが、損保ジャパン・ヘルスケアサービス(東京都新宿区)の調査で分かりました。調査は、同社セミナーの参加企業の人事労務部門などの担当者ら155人を対象に行いました。

それによると、メンタルヘルス不調者が「増加傾向」にあるのは42%、「横ばい」が40%。現代型鬱病については、「増加傾向」が43%、「横ばい」が27%でした。「現代型鬱病」と思われる人になんらかの対策を実施しているかについては「ない」が 66%で、「ある」(24%)を大幅に上回りました。
また、戦略的にメンタルヘルス対策を行う際の課題について尋ねる(複数回答)と、(1)「人事労務部門の体制」(77件)(2)「経営層の意識・方針」 (64件)(3)「予算」(61件)(4)産業保健スタッフの能力(45件)(5)「効果の可視化」(44件)-の順でした。
メンタルヘルス対策の実施の有無は、「実施している」が最も多く63%。「実施予定あり」(5%)、「検討中」(24%)と合わせると9割を超え、対策に前向きな姿勢がうかがえました。

【その他】「社会保障に関する国民意識調査」の結果

平成24年8月24日、「社会保障に関する国民意識調査」の結果が厚労省サイトより発表されました。

【主な調査結果のポイント】

1:「福祉と負担に関する一般的意識」

・福祉と負担の水準に関する問いに対して
「福祉を充実させるため、われわれの負担が重くなってもやむをえない」59.8%
「福祉が多少低下することになっても、われわれの負担は軽くしてほしい」22.5%

→負担の減少よりも福祉の充実を選択するものの割合が多い。

・弱者保護と自由競争に関して
「弱い立場の人々を保護することが、もっと必要だと思う」44.6%
「自由に競争できる社会にすることが、もっと必要だと思う」23.9%

→弱者保護を優先するものの割合が多い。

2:「今後の社会保障の給付内容について」

・今後の社会保障の給付と負担のバランスについての問いについて
「社会保障の給付水準を保つために、ある程度の負担の増加はやむを得ない」、「社会保障の給付水準を引き上げるために、大幅な負担の増加もやむを得ない」5割弱
→負担増を容認しつつ、給付水準の切り下げに否定的な見解を持つものの割合は年齢が高くなるほど多くなる傾向が見られる。

3:社会保障と経済に関する意識

・社会保障と経済成長に関する考え方について
「社会保障が経済成長にとってプラスである」37.7%
「社会保障は経済成長の足かせになる」30.0%

→特に55歳以上の年齢層で、社会保障が経済成長に対してプラスの効果を持つと考えるものの割合が高い傾向にある。

詳しくは厚労省・報道発表資料をご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002i9cr.html

【労働経済】65歳まで雇用 「義務付け」きょう成立

60歳の定年後も希望者全員を雇用することを企業に義務付ける高年齢者雇用安定法改正案が2012年8月29日、成立します。来年4月から厚生年金の受給開始年齢が引き上げられるのに対応し、定年後に年金も給料も受け取れない人が増えるのを防ぐ狙いです。2025年度には65歳までの雇用を義務づけます。企業は継続雇用の対象者を能力などで絞り込めなくなるため、負担増に備え対応を急いでいます。
 
28日の参院厚生労働委員会で民主、自民、公明などの賛成多数で可決しました。29日に参院本会議で可決、成立する見通しです。

会社員が加入する厚生年金(報酬比例部分)は現在60歳から受け取れますが、男性は13年度に61歳からとなり、以降3年ごとに1歳上がって25年度には65歳開始となります。

現在、企業の82.6%(約10万9千社)は継続雇用制度を持ち、定年後も希望者を雇用しています。ただ、その5割強は労使協定の基準を満たす人に対象を絞っています。労働政策研究・研修機構によると、健康状態や出勤率・勤務態度のほか、約5割の企業が業績評価も基準に使っています。

改正法は企業が労使協定で対象者を選別することを禁じます。ただ、企業の負担が重くなり過ぎないよう、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会で指針を作り、勤務態度や心身の健康状態が著しく悪い人は対象から外せるようにします。

継続雇用する対象者の範囲は年金の受給開始年齢の引き上げに合わせて広げ、受給開始が65歳となる25年度には65歳まで希望者全員の雇用を求めます。指導や助言に従わない企業名は公表するということです。

2011年6月の厚生労働省の調査では、過去1年に定年を迎えた約43万人のうち10万人以上は継続雇用を希望しませんでした。年金の受給年齢が上がると定年後もしばらく年金を受け取れなくなるため、来春以降は希望者は増えると考えられます。

みずほ総合研究所の試算では、継続雇用を希望しなかった人と希望しても離職していた人が全員、継続雇用されると賃金総額は来年度に4千億円増える見込みです。25年度には1.9兆円増え、総人件費を約1%押し上げます。コスト増以上に、能力の低い従業員も雇用しなくてはならず労働生産性が下がると懸念する声も多い。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「人件費の増加を防ぐため能力の高い高齢者の賃金まで企業が一律に抑制しかねない」 と警鐘を鳴らしています。

高齢者の雇用が増える結果、企業が若年者の雇用を抑える可能性もあります。「高齢者と若者のワークシェアなど柔軟な働き方を進めていく必要がある」と高年齢者雇用コンサルティングの金山驍社会保険労務士は指摘しています。

【労働経済】大卒者の4人に1人が「安定雇用なし」―文部科学省学校基本調査

2012年8月27日、文部科学省の学校基本調査速報で今春大学を卒業した人のうち、8万6千人が就職も進学もせず、アルバイトや契約社員などの非正規労働者も含めると、大卒者全体のほぼ4人に1人にあたる12万8千人が安定的な仕事に就けていないことが分かり、若者の雇用環境の厳しさを裏付けまし た。

大卒者は昨年比1.2%増の55万9千人で、就職者は35万7千人となっており、就職率は63.9%で2.3ポイント増えました。2年連続の改善となります。文部科学省は、大企業志向が強かった学生が中小企業に目を向けたほか、大学とハローワークが連携して未内定者を集中支援した成果とみています。大学院修了者の就職率は修士が昨年比0.6ポイント増の73.2%、博士が3.3ポイント増の67.2%で、高卒者の就職率は0.5ポイント増の16.8%でした。

就職者に占める契約や派遣など非正規社員の数を調べたところ、就職者の6.2%にあたる2万2千人で、正社員を希望しながら非正規労働を余儀なくされた人も多いとみられています。また、就職も進学もせず無職となった8万6千人の現状も初調査したところ、「就職準備中」が57.1%、「進学準備中」 が4.2%、「その他」が38.8%で、将来計画が定まっていない人が多いことがうかがわれます。

文部科学省ホームページ:学校基本調査-平成24年度(速報)結果の概要-(生涯学習政策局調査企画課)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/08/attach/1324865.htm