東京電力は2012年6月4日、企業年金の給付水準の引き下げに必要な「対象OBの3分の2以上の同意」が得られ、予定通り10月から引き下げる見通しがついたことを発表しました。東電は現役社員の年金の引き下げについても労働組合に同意を得ており、7月上旬を目安に厚生労働相に引き下げを申請します。現役とOBを合わせた年金削減により、今後10年間で1065億円のコスト削減を行い、経営再建に不可欠とする家庭向け電気料金の値上げに理解を求めます。
削減案は原則3.5?6.5%の年金の保証利回りを2.25%を下限に引き下げることとしています。東電は5月末までに対象OBの83%に当たる約1万2700人から同意を得ています。高卒で入社し係長級で退職した標準的なOBの場合、月11万?15万円だった74歳までの受給額が1?2割程度減り10万?12万円になります。75歳以上に支給される終身年金も月7万から5万円へと減額となります。この減額は企業年金についてのものであり、公的年金である基礎年金や厚生年金には影響はありません。
東京電力は今年5月に枝野幸男経済産業相から認定を受けた総合特別事業計画で、今後10年間のコスト削減目標を3兆3650億円超と明記しており、年金削減はその一部となっています。