厚生労働省は25日、AIJ投資顧問による年金消失問題を受けた企業年金の財務改善策を公表しました。企業が退職した元会社員(OB)に支払っている企業年金を減額する際に「母体企業の経営悪化」が必須条件ではないことを明確にして、黒字企業でも減額を申請しやすくします。減額時に希望者に支払う一時金も新たに2つの算定基準を追加し、引き下げを可能にします。国民からの意見募集を経て、8月中に通知を改正します。
厚労省が民主党厚労部門会議で報告しました。AIJ事件で露呈した企業年金の財政悪化を食い止めるのが狙いで、企業年金と公的年金の一部を一体運用する厚生年金基金や、大企業の確定給付企業年金に適用されます。
OB年金の減額には全受給者の3分の2以上の同意が必要。その上で「経営状況の著しい悪化」か「掛け金が大幅に上昇し、将来負担が困難になる」場合に減額を申請できます。ただ「経営悪化」を必須条件と考えている企業が多いため、どちらかの要件を満たせばいいことを明確にすることにしました。
OB年金を減額する際に、企業は希望するOBに対し、減額前の年金額に当たる一時金を一括して支払いますが、企業とOBの同意を条件に一時金の金額を引き下げやすくすることも認めるとしています。
このほか、厚年基金などが運用利回りの目標(予定利率)を引き下げる場合に、母体企業が積み立て不足分を穴埋めする期間を現在の最大20年から30年に延長し、穴埋めにかかる1年ごとの負担を軽くします。