大企業の会社員やその家族が入る健康保険組合で、1カ月の医療費が1000万円以上かかったケースが2011年度に179件ありました。10年度を5件上回り、過去最高となりました。500万円以上も10年度比604件増の4457件で過去最高を更新。医療技術の進歩で、高額な医療を受ける人が増え ています。
業界団体の健康保険組合連合会が診療報酬明細書(レセプト)を分析しました。最高額は1億1550万円の血友病患者でした。1億円を超えたのは初めてです。血友病は出血を抑えるための血液を固める注射治療が高いということです。血友病患者は179件のうち、3割弱を占めました。
その他の疾病では、心筋症や肝硬変の患者が目立ちました。体内埋め込み型の補助人工心臓が11年度から保険適用になり、手術を受ける患者が増えました。生体肝移植など臓器移植の手術を受ける患者も増加しました。
医療費は3割を患者が負担するのが原則で、残り7割を健保が負担しています。ただ血友病など特定の病気や医療費が高額になった場合は、国が補助する仕組みがあります。治療が全額、公費で受けられることもあります。患者にとっては高額でも高度な医療は必要ですが、健保組合にとっては財政が悪化する一因となります。医療費は高度化の影響もあって右肩上がりで増えており、全体の伸びを抑える取り組みが欠かせません。