厚生労働省は、国に代わって公的年金の保険料の一部を運用する厚生年金基金の制度を将来的に廃止する方針ですが、1兆円を超える積立金の不足分をどうやって穴埋めするかなど、廃止に向けて課題は山積しています。
主に中小企業の企業年金を扱う厚生年金基金は、運用益を上げるため、公的年金である厚生年金の保険料の一部も国に代わって運用していますが、経済情勢の悪化によって、半数の基金で公的年金の支給に必要な積立金が不足しており、不足額の総額は1兆1000億円にのぼっています。
こうしたなか厚生労働省は、9月28日、この問題を巡る対策本部を開き、財政状況の改善は見込めないとして、厚生年金基金の制度を将来的に廃止する方針を決めました。
ただ基金を廃止するには、1兆円を超える積み立て不足を穴埋めしなければならず、企業側で穴埋めできない部分は、厚生年金の保険料を使うことになりますが、一部の基金の損失処理を厚生年金全体で負担するのは不公平だという指摘が出ています。
また基金を廃止する前に、ほかの企業年金の制度に移行するよう促すことにしていますが、中小企業が単独で企業年金を維持するのは難しいという指摘があり、 基金に代わる中小企業の企業年金をどう確保するかも課題です。厚生労働省は、厚生年金基金を廃止するための改革試案を10月中にまとめることにしていますが、廃止に向けて課題は山積しています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002kpls-att/2r9852000002kv6o.pdf