AIJ投資顧問(東京・中央)による年金詐欺事件で、資金が未公開株に投資され、多額の損失を出した長野県建設業厚生年金基金(長野市)は31日、未公開株の運用を委託していたソシエテジェネラル信託銀行など3社に、基金として損害賠償を請求する方針を固めました。請求額は未定で、応じられない場合は提訴も検討するとのことです。また、基金の解散を検討していることも明らかにしました。厚年基金の制度改革の議論を踏まえて時期などを詰めます。
賠償請求を検討するのは、ソシエテ信託銀、ユナイテッド投信投資顧問、スタッツインベストメントマネジメントの3社(いずれも東京)。3社は、ファンド運用会社「アール・ビーインベストメント・アンド・コンサルティング」(東京)などが選んだ未公開株で68億円を運用し、資産は6月時点で22億円に目減りしました。基金の中川信幸理事長は「3社は監視を怠った」と会見で主張しました。
金融庁は、10月16日、ファンド会社への監視を怠ったなどとして3社に一部業務停止命令を出しました。県警も、企業に上場の予定があると虚偽の説明をし、同基金の資金をだまし取った疑いがあるとして、10月16日にアール社を詐欺容疑で捜索しました。
長野の基金を巡っては捜査当局が横領容疑で元事務長を追及。脱退を望む加入企業が相次いでおり、基金の意向に沿って解散が認められるかどうか不透明な面もあります。