企業年金の一種である厚生年金基金で全体の5%にあたる28の基金が解散の方針を固めました。継続しても財政状況は改善しないと判断したためです。解散に踏み切るのは母体企業に厚年基金の積み立て不足を穴埋めする財務余力がある基金が中心で、母体企業に余力の乏しい厚年基金の動きは鈍いままです。
厚生労働省は厚年基金の解散条件を緩和する法案を検討しています。だが、同法の施行を待ち厚年基金が解散しようとすると、その間に財政がさらに悪化するリスクもあるため法施行を待たず解散に動き出しました。
全国570ある厚生年金基金の状況を調査したところ28基金が解散の手続きに入っているようです。厚生局との協議が順調にいけば来年度にも解散が認可されます。
ただ、解散の動きは600近い厚生年金基金からみると一部にとどまっています。厚生年金が解散する場合、国から預かっている運用する資産を返還しなければ なりません。多くの基金は積立不足を抱えているうえに中小企業の企業の体力が弱く、積立不足を穴埋めできないため、解散をとどまっています。
解散には申請から認可まで1年ほどかかり、財政悪化が進む可能性もあります。解散手続きに入った28基金の多くは積立不足を抱えていますが、早めに解散したほうが母体企業の穴埋め負担は軽くて済むと予測しています。