事故で脊髄を損傷して労災認定された後、敗血症で死亡した大阪府の男性について、労働保険審査会が労災と死因との因果関係を認め、遺族補償年金の支給を認めなかった大阪北労働基準監督署の処分を取り消す裁決を出していたことが5月13日、判明しました。
事故に起因する感染症で死亡したにも関わらず、労働基準監督署が労災と死因の因果関係が不透明とのことで労災補償を打ち切ったのは不当であるとして、配偶者が求めた不服審査について、労働保険審査会が労災と死因の因果関係を認め、打ち切り処分の取り消しを決定したことが分かりました。患者団体によります と、脊髄損傷の患者の補償打ち切りに関して、労働保険審査会で処分取り消しの決定が出るのは珍しいといいます。
電気工事会社社員だった男性は1983年に電柱から落下して脊髄などを損傷し、下半身麻痺で労災認定されていました。その後、男性は病床で皮膚や皮下組織が死滅する褥瘡(じょくそう)が悪化し、2011年11月に敗血症で死亡したそうです。
脊髄損傷の患者の場合、車いすによる生活や寝返りができないことなどから褥瘡(じょくそう)ができ、細菌が侵入して感染症で死亡するケースが多いのですが、同様に労災補償を打ち切る事例が全国で多発しているとされています。