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【労働経済】大学生の就職内定率、3年ぶり6割台回復

来春卒業予定の大学生の2012年10月1日時点の就職内定率は63.1%で、前年同期より3.2ポイント上昇したことが27日、文部科学省と厚生労働省の調査で分かりました。上昇は2年連続で、6割台に乗ったのは3年ぶりとなります。リーマン・ショック後の低水準からの回復基調が鮮明になりました。文科省は企業の採用意欲が改善したほか、学生の大企業志向が薄れて中小企業に目を向けたためとみています。

調査は全国の国公私立大62校を抽出しました。来春卒業予定者は約55万6千人です。就職希望者約42万5千人のうち約15万7千人が内定を得ていない計算となります。同省は「2000年代初めの就職氷河期と並ぶ最悪状態は脱したが、景気動向は不安定で、このまま回復が続くかは未知数」としていま す。

男子は63.0%、女子が63.2%。上昇幅は男子1.3ポイントに対し、女子は5.5ポイントと大きく改善しました。文系は62.4%(2.7ポイント上昇)、理系は66.8%(6.2ポイント上昇)でした。

大学所在地別では中国・四国が49.5%で4.0ポイント低下しましたが、他地域は上昇しています。東日本大震災の被災地を含む北海道・東北が 63.0%と6.1ポイント上昇したほか、関東は67.2%(2.3ポイント上昇)、近畿は66.4%(5.0ポイント上昇)となりました。

一方、厚労省によると、高校生の就職希望者の9月末時点の内定率は41.0%で前年同期を0.5ポイント下回りました。ただ求人数は同13.3% 増の約18万2千人、求人倍率は同0.09ポイント増の1.01倍と改善しています。同省は「今年は選考が始まった9月16日が休日で採用活動の開始が遅れた」としています。

被災地は岩手県48.7%(0.2ポイント低下)、宮城県38.3%(4.5ポイント上昇)、福島県39.9%(3.1ポイント上昇)でした。復興需要で建設業などの求人が伸びています。

【その他】補助金不正受給で県に533万円を返還―香取市

2012年11月22日、香取市は県緊急雇用創出事業の一環として、2010年度に行った香取市ホームページのリニューアル事業を請け負い、補助金を交付された銚子市の「銚子インターネット」が、試用社員を「失業者」として扱っていたことが分かり、補助金の交付条件を満たしていなかったと発表しまし た。同社は補助金533万4000円を市を通して千葉県に自主返還しました。小川戸周太社長は「アルバイトのような雇用だったので失業者であると拡大解釈した」と釈明しています。

香取市商工観光課によると、問題となったのは「ウェブアクセシビリティ整備業務」で、失業者3人の新規雇用が補助金交付の条件だった。同社は2010年5月から2011年3月末までの間、失業者3人を新規雇用し業務に従事することを申告し、市も11年4月に実績報告で履歴書を確認しましたが、 匿名の投書により調査し、3人のうち1人が試用社員だったことが判明しました。試用社員は職歴を「(他社を)2009年12月に退職」までしか記載しておらず、気づかなかったという。市は「再確認するなどして、再発防止に努めたい」としています。

【労働経済】関西中小企業8割が電力値上げに「転嫁困難」―大阪商工会議所調査

関西電力が電気料金を引き上げた場合、関西の中小企業の8割が製品やサービスの販売価格にほとんど転嫁できないと考えていることが、大阪商工会議所のアンケート調査で分かりました。大阪商工会議所は「安定供給もままならないうえに値上げでは地域の経済や雇用への影響が大き過ぎる」として、安全が確認された原子力発電所の早期再稼働を求めています。

2012年11月22日発表の調査結果によると「ほぼ全額転嫁できる」との回答は全体の2%にとどまりました。9割以上の会社が電力値上げによる収益悪化を懸念しています。このため8割の企業が「工場・オフィスでの節電努力」を検討しており、「人件費を削減する」と答えた企業も1割ありました。

関西電力は来年4月から企業向けの電気料金を20%程度値上げする方針です。仮に20%の値上げが決まった場合、アンケートに回答したうちの22%の企業が「関電管内の事業拠点の移転・縮小を検討する」と回答しました。その半面、「地域密着型事業のため移転・縮小は困難」とした企業も36%に上りました。

調査は2012年11月19日、大商が開いたセミナーに参加した90社を対象に実施され、大半が大阪府内に本社を置く中小企業で、64%に当たる58社から回答を得ました。

【労働経済】シャープの広島3工場、離職者520人に―広島労働局が再就職支援

2012年11月20日、広島労働局はシャープの希望退職により広島県内の3工場で520人規模の離職者が発生することを明らかにしました。同日付で労働局長を本部長とする雇用対策本部を発足しており、各工場に出向き求職活動や雇用保険について相談会を開催するなど再就職を手厚く支援する方針です。

シャープでは中国地方では広島県福山市、東広島市、三原市に工場があり、電子部品、スマートフォンなど携帯電話、発光ダイオード(LED)などを生産しています。3工場の従業員数は3月末時点で約4300人でした。

同日シャープが発表した希望退職者数は2960人で、県内3工場は約520人となりました。12月15日に退職となります。県内の9月の有効求職者数は5万4600人で、今回の退職者数は約1%に相当する規模です。

労働局は今後、3工場に出向き、それぞれ2~3回の相談会を実施し、就職応募書類の書き方などについての助言や、市営住宅などの情報の提供をします。各地のハローワークでも特別相談窓口を設置し、相談体制を手厚くして、広島県などと連携し自治体の間の情報共有も進めます。

水野知親局長は記者会見で「関連する取引先でも離職者が出てくる可能性がある」との認識を示しました。広島労働局で対策本部を設置するのは、 2008年の金融危機以来、約4年ぶりとのことです。支援体制を迅速に用意し、域内の雇用環境に悪影響が広がるのを防止する方針です。

【その他】「被ばく労働を考えるネットワーク」相談会で除染作業員が危険手当未払い訴え―福島県いわき市

東京電力福島第一原発の収束作業をする作業員や除染作業員を支援しようと、労働問題に取り組む「被ばく労働を考えるネットワーク」が2012年11月25日、福島県いわき市で第一回の相談会を開催しました。相談会では、福島県田村市の国が除染を進める地域で、除染をした青森県の58~61歳の男性作業員5人が訪れ、「国から支払われた特殊勤務手当(危険手当)がピンハネされている」と訴えました。

男性らは9月から約2か月、約800人の作業員とともに山の草刈りなど除染作業をしましたが、国が除染を進める年間放射線量が高い地域では、危険手当が一日一万円ほど出るが、五人には支払われていなかったとのことです。5人は大手ゼネコンの三次下請け会社に勤務していましたが、「危険手当があるのを知った時は驚いた。どこでピンハネされているか分からない。健康診断も除染の講習も自費。当初はマスクの支給もなかった」と説明しました。

会場では、阪南中央病院の村田三郎副院長が原発作業員らの被ばく問題について講演し、「長期にわたる作業員の徹底した被ばく線量と健康管理が必要。被ばくとの関係が否定できない健康被害が出た時は、国と東電が補償すべきだ」と話しました。

会場では生活相談も行われ、避難生活をする人や地元住民も訪れました。大熊町の女性は「収束作業をする作業員は、国が年金まで補償すべきだ」と話しました

【労働経済】埼玉県企業、半数が高齢者雇用に前向き

埼玉りそな産業経済振興財団(さいたま市)は21日、埼玉県内企業を対象に高齢者雇用についてのアンケート調査をまとめました。人件費を抑えて経験豊富な人材を活用できるなどの理由から、県内企業の約半数が高齢者の継続雇用が経営にプラスの影響を与えると回答しましたが、若年者雇用への影響は懸念されます。

高齢者の継続雇用に関しては「高年齢者雇用安定法」の改正法が来年4月に施行され、心身の健康状態が著しく悪いなど一部を除き、働きたいと希望する従業員全員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられます。

継続雇用制度を利用して勤務を継続する従業員の割合は「80~100%」が42%で最も多くなりました。その一方、「0~20%未満」の企業も34%と二極化しています。同財団は「年金で生活に余裕があるなどの理由で、継続雇用を希望しない人も多いのだろう」とみています。

高齢者雇用による経営への影響については「プラス」「どちらかというとプラス」が合わせて48%、「マイナス」「どちらかというとマイナス」が21%でした。「特に影響ない」とする企業も30%ありました。

懸念されるのは若年者の雇用への影響で、継続雇用など高齢者雇用により全体の26%が「新卒採用の抑制に影響する」と回答しました。特に製造業では約4割に上りました。厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が段階的に引き上げられるのに伴い、今後は継続雇用の希望者が増加し、景気動向によってはますま す若年者の雇用を圧迫する恐れもあります。

【その他】生活保護受給、4カ月連続で過去最多更新213万人

厚生労働省は21日、全国で生活保護を受けている人が8月時点で前月より6342人増えて213万1011人に上り、4カ月連続で過去最多を更新したと発表しました。受給世帯数は前月より5230世帯増えて155万5003世帯で、こちらも過去最多を更新しました。

世帯別でもっとも多いのは65歳以上の高齢者世帯で67万3680世帯。病気やけがをした人の世帯は29万8643世帯、働ける世代を含む「その他」の世帯は28万5003世帯でした。高齢者世帯とその他の世帯は増加傾向にあります。厚労省は「高齢者の増加に伴って、今後も増加していく可能性が高い」と分析しています。

受給者数の増加に伴い生活保護費も総額約3.7兆円(2012年度予算)に達しています。政府の行政刷新会議は17日の事業仕分けで、「就労意欲をそがない水準とすべきだ」として、生活費に相当する生活扶助の事実上の引き下げを求めたほか、自民党の検討チームも引き下げに取り組む方針を打ち出すなど、生活保護費の抑制を迫る動きが活発になっています。

【労働経済】人材サービス各社 、大企業中高年層の就労支援事業を強化

人材サービス各社が大手企業出身の中高年層の就労支援事業を強化します。アデコ(東京・港)は人材派遣の登録者を2015年に現在の8倍近い1万人まで拡大するということです。インテリジェンスも経営顧問を紹介するサービスに力を入れるそうです。厚生年金の支給開始年齢引き上げで働く意欲のある高齢者らは今後も着実に増加するとみて、経営課題を抱える中堅・中小企業への派遣を事業の柱に育てていきます。

アデコは40代半ば以上の人材派遣「エキスパートスタッフィング」の登録者を現在の約1300人から15年に1万人まで増やすということです。専門スキルを持つ大企業の早期退職者らを中小企業などに派遣します。経営戦略や財務会計などを指導します。時給制による派遣で、外部のコンサルタントを雇うよりも柔軟に活用でき、コストも安いといいます。

働く側も一般的な時給が3500~5000円程度と比較的高い収入を得られます。月収はどの程度、派遣ニーズがあるかによって大きく左右されますが、自分の専門性を生かした仕事を続けることができる魅力があります。

大手企業の人員削減を受けて中高年の有能な人材で離職者が増えています。東京商工リサーチの調査によると、今年1月から11月までの主な上場企業の希望・早期退職の募集人数は1万6779人で、11年累計の約1.9倍となっています。さらに13年度から始まる厚生年金の支給開始年齢引き上げに伴い、就労意欲の高い高齢者が増えるとアデコはみています。

アデコのほかにも、インテリジェンスは経営顧問の紹介サービス「i―common(アイコモン)」の登録者を現在の約1500人から1年後に3000人に増やします。中小企業などが新規事業の立案や営業力強化など経営課題ごとに契約できます。料金は定額制で月額25万円から設定するということです。

現在の登録者の平均年齢は56歳で、上場企業を退職した部長級以上が多く登録しています。これまでに顧問として約40人が中小企業に就職するのを仲介した実績もあります。年内に300社から業務改善についてのコンサルティングの受注を見込みます。

パソナグループは中高年の就労を支援する子会社の日本雇用創出機構(東京・千代田)を通じて事業拡大を狙います。現在、大企業の退職者約650人が登録、今後も登録者を増やす方針です。

特に中小企業は長引く景気低迷や円高などで収益環境が厳しくなっています。このため、経営企画など重要な部門で人材派遣を求める動きが広がっています。12年版「中小企業白書」によれば、定期的な経営相談を受ける企業では直近5年間の利益が増益となる傾向が見られました。

【労働経済】中小の退職金減額

厚生労働省は自前で退職金制度を持てない中小企業が加入する中小企業退職金共済制度(中退共)で、退職金を減額する検討を始めました。2012年度中に予定運用利回りの引き下げや、運用実績が想定を上回った場合に加入者に支給する付加退職金の減額などの結論を出すということです。運用難で深刻な積み 立て不足に陥っていることから、中長期にわたり持続可能なしくみに改めます。
 
厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会で議論します。中退共は株式市場の低迷で運用実績が悪化し、11年度末時点で1741億円の累積欠損金を抱えています。05年に17年度までの財政健全化計画をたてたものの、11年度末時点の累積欠損金は計画の目標値である1023億円を大幅に上回りました。厚労省は制度を持続させるためには、退職金減額はやむを得ないとの判断に傾きました。

具体策として、予定運用利回りを現在の1%から0.8%程度まで引き下げることを検討します。02年に3%から1%に引き下げた時には、毎月1万円の掛け金で10年納付した人のケースで退職金は約14万円減りました。運用利率の引き下げにあわせて、毎月の最低掛け金を現在の5千円から増やして不足している積立金の上積みに充てる案も検討しています。

基礎退職金に追加して加入者に支給している「付加退職金」を減額する案も有力です。運用益が出た場合、半分を受給者に支給しているが、支給する割合を下げることで積立金に充当します。大和総研の菅野泰夫主任研究員は「中退共は制度の抜本的見直しができなければ、制度廃止の可能性もでてくる」と指摘します。

厚労省は中小企業の企業年金である厚生年金基金制度は廃止の方針を決めました。財政が健全な厚年基金の一部には中退共の制度を改革し、移行先として検討したいとの声も出ています。

【労働経済】勤務医の半数に健康不安 医師の労組調査

医療機関で働く勤務医の47%が健康に不安を覚えたり、病気がちだったりすることが「全国医師ユニオン」などが約2千人を対象に行ったアンケートで18日、分かりました。

健康状態に関しては「不安」が38%、「大変不安」が5%、「病気がち」が4%。ストレスについては「強く感じている」が13%、「感じることが多い」は54%、「(ストレスのため)投薬などの治療を受けている」は4%でした。

「最近、職場を辞めたいと思うことはあったか」との質問には8%が「いつもあった」、26%が「時々」、28%が「まれに」と答えました。