令和3年6月3日、衆議院本会議において、出生時育児休業の創設などを内容とする「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」が、全会一致で可決・成立しました。
子どもの出生後、8週間以内に最大4週間の休業を取得することができる「出生時育児休業(男性版産休)」の導入が正式に決まったということで注目を集めています。
また、企業に対して、妊娠・出産の申出を行った社員に対する制度の周知と休業取得意向の確認を義務付けるといった改正も行われます。
施行日を含め、改正の全体像を確認しておきましょう。
【1~5は育児・介護休業法の改正、6は雇用保険法の改正】
1.男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組み〔出生時育児休業〕を創設する。
<出生時育児休業の特徴>
① 休業の申出期限については、原則休業の2週間前までとする。 ※通常の育児休業(1か月前)よりも短縮
② 分割して取得できる回数は、2回とする。
③ 労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別合意により、事前に調整した上で休業中に就業することを可能とする。
〔施行期日:公布日から1年6月を超えない範囲内で政令で定める日〕
2.育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
次の措置を講ずることを事業主に義務付ける。
① 育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置
② 妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置
〔施行期日:令和4年4月1日〕
3.育児休業の分割取得
育児休業(1の休業を除く。)について、分割して2回まで取得することを可能とする。
〔施行期日:公布日から1年6月を超えない範囲内で政令で定める日〕
4.育児休業の取得の状況の公表の義務付け
常時雇用する労働者数が1,000人超の事業主に対し、育児休業の取得の状況について公表を義務付ける。
〔施行期日:令和5年4月1日〕
5.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件を廃止する。
ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することを可能とする。
〔施行期日:令和4年4月1日〕
6.育児休業給付に関する所要の規定の整備
① 1及び3の改正を踏まえ、育児休業給付についても所要の規定を整備する。
② 出産日のタイミングによって受給要件を満たさなくなるケースを解消するため、被保険者期間の計算の起算点に関する特例を設ける。
〔施行期日:公布日から1年6月を超えない範囲内で政令で定める日(ただし、②は公布日から3月を超えない範囲内で政令で定める日)〕
施行期日は、基本的に令和4年度以降とされています。
今後、厚生労働省から、リーフレットやパンプレットなど資料が公表されると思われますが、ひとまず、改正案の概要などをご確認ください(この改正案からの修正はありませんでした)。
<育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案>
・概要: https://www.mhlw.go.jp/content/000743975.pdf
・法律案要綱: https://www.mhlw.go.jp/content/000743976.pdf
※リーフレットやパンプレットなど資料が公表されましたら改めてお伝えします。