厚生労働省から、平成30年11月6日に開催された「第10回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」の資料が公表されました。
議題は「パワーハラスメント防止対策等」。
今回の会合では、「事業主が講ずる対応策案」も示されています。
その内容も重要ですが、特に注目を集めているのは、その防止対策をどのように規定するか? です。
具体的には、次のように、意見が分かれているようです。
●セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策の例を参考に、事業主が職場のパワーハラスメント防止等のための雇用管理上の措置を講じることを法律により義務付けることについて、どのように考えるか。
<措置義務を法律で規定すべきというご意見>
・法律による対応が必要。
・ハラスメント根絶のために禁止規定と措置義務が必要。
・措置義務は、定義がそれほど厳密でなくとも企業の手続の中で事例が積み上がり、定義のあいまいさがフォローされていくことが期待できる。
・措置義務には直接的な民事効はないが、指針と組み合わせて間接的な効果はある。
裁判所では特に指針を参考に違法性の判断を組み立てていくことになる。
<措置を法律で規定すべきではないというご意見>
・パワハラかどうか判断が難しい中で、措置義務について法制化すべきではない。
新たにガイドラインを策定し、労使双方に周知すべき。定義・考え方について裁判例・好事例も含めて幅広く周知すべき。
・ガイドラインすらない現時点では、まずはガイドラインの策定と周知啓発が必要。
おおむね、労働者側の委員と公益委員は法定化が必要、使用者側の委員はまずはガイドラインで、という意見のようです。
同省は、次回の会合で、そのような意見も反映した報告書の骨子案を提示する予定です。今後の動向に注目です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
資料を見ていくと、一筋縄ではいかない問題が多数あることがわかります。
<第10回労働政策審議会雇用環境・均等分科会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02134.html