【年金・医療】県建設業厚生年金基金が会見 「代行割れ」180億円に拡大

AIJ投資顧問(東京)による年金資産消失事件で、同社社長浅川和彦被告=詐欺罪などで起訴=に巨額資産をだまし取られたとされる県建設業厚生年金基金(長野市)は平成24年8月23日、長野市内で記者会見を開き、被害の概要などを説明しました。浅川被告らに対する心情を問われた同基金の中川信幸理事長は「とにかく、金を返してくれ」と訴えました。

浅川被告らが6月に詐欺容疑などで逮捕されて以降、同基金による会見は初めてです。中川理事長と基金事務局の説明によると、基金はAIJに対する約65億円の投資一任契約を昨年5月にいったん解約。基金の役員らでつくる資産運用委員会などが浅川被告らの説明を聞いて再投資先を検討した結果、同7月にほぼ同額を再委託したといいます。

ただ、当時、契約をいったん解約した理由や、浅川被告がどんな説明をしたかについて、基金事務局は「公判を控えているので詳しいことは言えない」とするにとどめました。

また、基金側は、ことし2月にAIJによる年金資産消失事件が表面化した後、委託した約65億円を2011年度決算で損失処理。その結果、11 年度末時点の純資産額は約100億円に落ち込んだと説明しました。国が最低限必要と定めた積立金の水準(最低責任準備金)は約280億円で、積立金不足が国から預かっている部分にまで食い込む「代行割れ」が、これまで判明した96億円から約180億円に大幅に拡大しました。

 「個人の考え」として既に基金の解散提案の意向を示していた中川理事長は、同日、基金の今後について聞かれ「国の制度改革の内容を見極めた上で、(負担軽減策が十分なら)解散を提案していきたい」と述べました。