【労働法】中学生就労新たに1件 栃木県教委調査、禁止周知へ

今年8月に足利市の市立西中3年の男子生徒(当時14歳)が解体作業中に死亡した事故を受け、県内全ての公立中学校と特別支援学校を対象にアルバイト就労に関する調査をしていた栃木県教委は19日、男子生徒を含めた3人が労働基準法に違反して働いていたと発表しました。学校側が就労を把握しながら対応が遅れたケースもあり、県教委は10月中旬、全市町教委の中学校教育を担当する課長を集めた研修会を開き、中学生は原則就労禁止であることを周知します。

調査は8月20日~9月7日に市町教委を通じて実施し、今年度、各校に在籍している生徒が入学してから違法にアルバイトをした事例があるか聞きました。

発表によると、新たに分かったのは県南の中学校に通う3年の男子生徒。生徒は4月から5月にかけ3日間、下野市にある土木関連業者の仕事でアスファルトの片付け作業をして、日当6千円を得ていました。就労を知った生徒の祖父が5月14日、学校側に相談し、発覚。学校は翌15日、生徒側を指導し、以降は就労していないということです。

もう一人は、事故当日に同じ現場で働いていた足利市の3年生の男性生徒。死亡した男子生徒は、空き缶の仕分けや解体作業を、5月からの土曜日と夏休みに行っていました。一緒に働いていた男子生徒は、2月からの土曜日と5月下旬から平日を含む週4日、同様の作業をしていました。

学校は、死亡した男子生徒の就労を事故が起こる約2週間前の7月26日に、一緒に働いていた男子生徒の就労を6月8日にそれぞれ把握していましたが、働くのをやめさせるような指導を事故が起こるまで行いませんでした。

記者会見した県教委学校教育課は「調査は再発防止のため緊急に実施した。ほかに就労がなかったとは言い切れない」とした上で「中学生の就労は原則禁止されていることを学校だけでなく、事業所や保護者にも認識してほしい」としています。

労働基準法では、使用者(会社)が、15歳になった年度末を過ぎていない子供を働かせることを原則禁止しています。ただし、〈1〉13歳以上〈2〉製造業や解体業、建設業、鉱業などの危険が伴う業態でない〈3〉子供の健康や福祉に有害でない――ことを条件に、会社が労働基準監督署長の許可を受けて働かせることはできます。修学に差し支えない必要があります。