障害がある人の雇用を促進するために雇用した人数などに応じて事業者に支払われる障害者雇用納付金制度などを巡り、「高齢・障害・求職者雇用支援機構」(千葉市)で過払いや徴収不足などの算定ミスが相次いでいることが3日、会計検査院の調査で分かりました。
この制度は障害者雇用促進法に基づき身体、知的障害者の就労を促すもので、従業員201人以上の事業者が法定雇用率に達しない場合は納付金の支払い義務が生じ、率を上回れば機構から調整金や報奨金が支給されます。法定雇用率(1.8%)を超える事業主に対しては障害者1人当たり月2万7000円を支給 し、下回った事業主からは月5万円を徴収しています。
会計検査院が10年度に全国で対象となった企業や非営利法人など1万4457社と11年度の2万3195社から抽出した全国16の都道府県にある368事業者を調べただけでも、130の事業者で支給の対象にならない1週間の労働時間が20時間未満の人を含めたり、障害の程度を実際より重く申告したりして、合わせて2億4000万円余りを過大に受け取っていたことが分かりました。一方、基準を満たさない事業主からの徴収漏れも約1700万円に上りました。
審査をした「高齢・障害・求職者雇用支援機構」では、勤務実態を確認できる書類を事業者に提出させていなかったということで、会計検査院は、過大に支払われた金額を返還するとともに、適正に審査するよう求めました。
「高齢・障害・求職者雇用支援機構」は、「過大に支給された分は速やかに返還させるとともに適正な審査が行われるよう厳正に対処したい」と話しています。