【年金・医療】健保で過大請求の医療機関、労災診療費も過大受領―会計検査院

健康保険の診療報酬の過大請求が発覚した医療機関が、同様に算定する労災保険の診療費も過大に受領したまま未返還であることが会計検査院の調べで分かり、検査院は2012年10月5日、厚労省に改善を求めました。両制度とも厚生労働省の所管ですが、健康保険担当の地方厚生局と労災保険担当の労働局との間で情報を共有していないのが原因とのことです。

検査院は、診療報酬の過大請求分を自主返還した23医療機関を調査しました。その結果、2004~11年度に行なった労災保険の診療でも23機関の計697件全てで診療費が誤って算定されており、計2364万円を過大に請求し受領していたとのことです。

診療報酬の過大請求は地方厚生局の指導や調査で発覚しましたが厚生局は各労働局には伝えなかったため、労災保険の診療費の過大請求は放置されていました。診療費は年間2000億円規模と多額となっています。検査院は「縦割り行政を見直すべきだ」と指摘しました。

厚労省によると、報道などで過大請求が明らかになった場合に両局間で情報をやりとりするケースはあったものの、共有する仕組みはないとのことです。厚労省補償課は「民間企業の情報も含まれており慎重に扱ってきたが、指摘を受けてより活用できるよう検討したい」としています。