東京医科大茨城医療センター(阿見町、501床)が12月1日に保険医療機関の指定を取り消される問題で、茨城県は9日、阿見町周辺の10市町の国民健康保険組合を集め、第2回対策会議を開きました。転院できない患者には従来の負担割合で受診・入院できる特例措置「療養費払い制度」について、各組合が利用を了承する意向を示しました。病状など、適用範囲を狭めます。同センターは、健康保険組合など国保以外の保険者にも、適用を求めていく方針とのこ とです。対策会議には、松崎靖司センター長ら病院側の関係者も出席しました。
療養費払いの実施に同意した保険者は土浦、石岡、龍ケ崎、牛久、つくば、稲敷、かすみがうら、阿見、河内、美浦の10市町村。75歳以上の県後期高齢者医療広域連合も同意しました。今後は保険者である各市町村が適用のガイドラインを作成することになるとのことです。
「療養費払い制度」は、今回の指定取り消しで10割に増える患者の医療費負担のうち、本来の保険者負担分(70歳未満は通常7割)を例外的に保険者が支払う制度。患者負担はこれまで通りの自己負担額(70歳未満は通常3割)のままとなります。実務的には、センターがいったんその7割を負担し、患者に代わって保険者に請求する「療養費受領委任払い制度」を検討しています。各組合は、市町村議会に報告するなどして正式に適用を決めます。
制度の対象となるのは、救急治療、人工透析などの計画的治療、既に予約されている手術、転院により何らかの悪影響がある患者など。原則として、救急以外の新規患者は対象としません。県保健福祉部厚生総務課によると、同センター周辺の地域では約6割が国保加入者とのことです。
■最終段階ではセンターが負担も
同センターの松崎靖司院長は5日、指定取り消し後初めて県保健福祉部と協議し、転院が促せない患者で、保険者が療養費払いを了承しない場合については、 保険者分をセンターの負担とする考えを示しています。また、周辺10市町以外の国保組合に対し、療養費払い制度を要請する意向も伝えたが、県は「10市町での体制を作るのが先」との方針で応じました。