【労働経済】求人増でも賃金減 サービス業シフトの落とし穴

企業の求人意欲が高まっているのに、賃金相場は上昇していません。医療や介護などサービス関連企業が雇用を大幅に増やしましたが、このような分野で働く人の賃金はむしろ減少しています。雇用のサービス業シフトが賃金相場を押し上げる米国とは逆の動きを見せています。非正規雇用の賃金の安さやがんじがらめの 規制を背景に、賃金が上がりにくい仕組みが定着しています。

 規制によりサービス関連企業の収益力が高まらないことも賃金引き上げの逆風にもなっているようです。医療や介護は成長分野ですが新規参入や取扱い業務の規制が厳しいのが現状です。株式会社の病院の参入は企業から要望が多いですが、特区を使った診療所1か所しか認められていません。企業が求める人材に求職者の技能水準が伴わないミスマッチも背景にはあります。給与が高い専門職や技術職は人手不足ですが、一般的な事務職は人手が余っています。事務職の求職者間の競争が激しいため、賃金が低く抑えられる傾向があります。賃金相場が上昇しない限り、長引くデフレから抜け出すことは難しいと考えます。雇用の増加が見込める分野で規制緩和を進め、非正規社員が能力発揮して高い賃金をえることが出来るような制度を作ることが急務です。