【労働経済】“解雇改革”に慎重な見方~雇用安定化に配慮を-内閣府有識者会合

人材活用の在り方を検討してきた内閣府の「経済社会構造に関する有識者会議」の分科会「人的資源活用検討専門チーム(座長・清家篤慶応義塾長)」は9日、「成長のための人的資源の活用と今後の方向性について」と題した労働市場改革に関する報告書を発表しました。

政府の産業競争力会議などで経営者の代表が「労働者を解雇しやすいルールを作るべき」と主張し、雇用の流動化が議論されている中、雇用の安定化にも配慮するように強く求めました。

報告書は、企業が競争力を強めるため「最適な人材配置を図り、より生産性を高めていく必要がある」と雇用流動化に一定の理解を示す一方、「こうし た取り組みは企業内の人材移動を通じても可能だ」と指摘しました。勤務時間や職種を限定した「職種限定正社員」「業務限定正社員」など正社員の種類を多様化し、多元的な働き方が必要だとした上で、「改革を通じて雇用の安定化が図られる層が増えるよう配慮すべきだ」としています。

また、転職しても賃金が下がらないようにするため、異なる企業の社員の能力を客観的な基準で評価できる「職業能力評価制度」の整備を求めている他、高齢化を受けて“生涯現役型社会”を作る必要があるとし、「高齢者の就労を促す形での年金制度の見直しが必要」と指摘したほか、女性の就労の促進のため「保育・子育て支援への重点投資を検討すべきだ」と指摘しました。