北海道苫小牧市立小学校の元男性教諭(享年68歳)が校舎の増改築工事で飛散したアスベストを吸い込んで悪性胸膜中皮腫を発症し死亡したことについて、地方公務員災害補償基金北海道支部の審査会が3月19日付で民間の労災に当たる公務災害と認定したことが5月12日、わかりました。公立学校でのアスベスト 被害については、化学の実験でアスベストを扱っていた等による労災認定は全国でこれまでに4件となっていますが、建物の増改築や新築で建材からアスベスト が飛散する危険度は最も低いとされてきており、初の認定となります。
元教諭は1957年から1997年まで苫小牧の小学校6校で勤務し、退職後の2002年、アスベスト特有のがんの一種である悪性胸膜中皮腫と診断され、 2005年8月に68歳で死亡しました。元教諭の妻(76歳)と長女(45歳)は市の教育委員会に校舎設計図の開示を求めるなど約5年間調査し、2010 年に地方公務員災害補償基金北海道支部に公務災害認定を求め、中皮腫による死亡が「公務に起因しない」との同支部の2013年10月の判断に対して地方公 務員災害補償基金北海道支部審査会に審査請求をしていました。
地方公務員災害補償基金北海道支部審査会(大学教員と弁護士、医師の3人で構成する独立機関)の裁決によると、元教諭が勤務していた小学校6校のうち4 校で増改築工事が行われており、建材を切断した際に石綿が飛散し、教室の掃除などにより再飛散したものを吸い込んだことが原因とされました。元教諭は4校 のうち3校で勤務した1963~1983年度の330~440日間、アスベストを吸っていたと認定されました。