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【労働経済】離職率と入職率、ともに前年比0.1ポイント低下で過去最低

厚生労働省が12日発表した2011年の雇用動向調査によると、パートを含めた常用労働者の離職率(自己都合や解雇で退職した人の割合)は14.4%と なり、前年に比べて0.1ポイント低下しました。東日本大震災や節電の影響で企業の採用が減り、より良い職を求めて転職する人が減ったためとみられます。

新しい仕事に就いた入職者の割合を示す入職率も0.1ポイント低下して14.2%でした。入職率と離職率の合計で、労働市場の柔軟性を示す述べ労働移動率は28.6%となり、いずれも現在の調査方法になった04年以降で最も低くなりました。

12年1月時点の常用労働者は4433万人で、前年に比べて11万人減りました。パートで働く人は10万人増えて1078万人、正社員など一般労働者は22万人減り3354万人でした。離職した人は11年全体で641万人、新しい仕事に就いた人は630万人でした。

離職の理由を聞くと結婚や出産など個人的理由が67.9%で最多となり、勤め先の経営上の都合で仕事を離れた人は5.1%でした。転職した後の賃金が前 職に比べて増えた人は28.5%で前年から0.9ポイント低下。賃金が減った人も0.3ポイント低下し32.0%でした。

【労働経済】来春の高卒求人が0.75倍に改善

厚生労働省は12日、採用選考が16日に解禁される来春卒業予定の高校生の求人・求職状況(7月末時点)を発表しました。就職希望の生徒1人に平均何件の求人があるかを示す求人倍率は、東日本大震災の復興需要などで、去年の同じ時期に比べて0.07ポイント改善しました。昨年は東日本大震災の影響で低迷した岩手、宮城、福島の被災3県では、ほぼ倍増となりました。

求人数は14.5%増の14万5893人。昨年は震災の影響を受け、採用を抑制する企業が相次ぎました。しかし今年は、リーマン・ショック以降、採用を控えてきた企業のうち、景気回復で再開に転じたところも出てきて、2桁増となりました。一方、求職者数は3.4%増の19万3242人でした。

中でも岩手、宮城、福島の3県では、震災の復興需要で、建設業やサービス業などの求人が大幅に増えていて、求人倍率は、宮城県が0.93倍と0.52ポイント改善したほか、岩手県が0.61倍で0.28ポイント、福島県が0.60倍で0.29ポイント改善しました。3県について業種別にみると、建設が2~3倍、水産加工などの食料品製造が3倍前後に増えました。このほか「警備や宿泊も好調」(岩手労働局)、「仙台を中心に小売業の求人が伸びている」 (宮城労働局)とのことで、当初は1年契約の求人が目立っていましたが、現在は正社員が増えています。 

しかし、求人倍率が1倍を上回ったのは、東京都や愛知県など7つの都府県にとどまっています。12道県で0.5倍を下回っていて、最も低い沖縄は0.17倍でした。 

厚生労働省は「ハローワークを通じて求人の開拓を進め、就職活動を支援したい」と話しています。

【労働経済】最低賃金より高い生活保護、6地域で残る

2012年度の最低賃金では、生活保護の受給額より最低賃金で働いた場合の手取り額が少ない「逆転現象」が、北海道や東京など6地域で残りました。 逆転していた11地域のうち、解消したのは青森など5地域にとどまりました。労働側は「働く意欲が低下する」として逆転現象の早期解消を求めますが、時間はかかりそうです。

逆転している地域は減少する傾向にありました。しかし、都市部の賃貸住宅に暮らす若い世代に生活保護の受給者が増えたことなどで生活保護費が大きく増えました。このため逆転する地域が増えています。

逆転が残った6地域では2年以内の解消をめざすことで、労使が一致しています。ただ、最低賃金は全国平均で10年前の663円から86円上がっています。経営者側には「中小企業の経営は厳しく、すぐに逆転を解消できるほどの大幅な引き上げは難しい」との声も残っています。

今回、最低賃金の上げ幅が最も大きかったのは北海道と大阪の14円です。生活保護と最低賃金の逆転幅の縮小を狙いましたが、それでも今年度は逆転を解消できませんでした。最低賃金の引き上げだけでなく、生活保護の見直しも必要になりそうです。

【労働経済】最低賃金、平均749円 12年度12円上げ

2012年度の都道府県ごとの最低賃金は、全国平均で前年度より12円引き上がり時給749円になりました。上昇額は2年ぶりに10円を超えました。所得増による景気への影響が期待される半面、賃金の急激な引き上げは中小企業の経営を圧迫しかねません。政府が掲げる「全国で最低800円」の実現には、中小企業の稼ぐ力の向上が課題になります。

10日に富山県の審議会で答申が出て47都道府県の改定額が出そろいました。中央審議会が決めた目安は全国平均で7円の引き上げでしたが、東日本大震災の復興需要や景気の持ち直しで上乗せにつながりました。沖縄など賃金水準の低い地域の上げ幅が大きかったということです。政府が目標とする800円を上回ったのは東京、神奈川、大阪だけで、最低の高知や島根は652円でした。

最低賃金引き上げの恩恵を受けるのは、パートやアルバイトです。特に外食や小売りなど流通業で働いている人が多いです。これらの業界は総じて利益率が低いとされています。企業の稼ぐ力が向上しないまま賃金水準を引き上げることには限界もあります。政府は中小企業の競争力を高める政策を進め、最低賃金を引き上げる外部環境を準備できるかも課題になっています。

日本の最低賃金は先進国の中で最低水準とされています。第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「企業収益の改善ペースに合わせて日本の最低賃金を緩やかに上げていく必要があるのではないか」と指摘しています。

【年金・医療】障害年金手続きスタート、早めの請求を―東日本大震災

東日本大震災から1年半を迎える2012年9月11日、被災によるけがや病気で障害を負った人が「障害年金」を受給するための申請が順次始まります。障害の認定が、障害の程度が固定化しているかを判断するため、原則として初めて医師の診察を受けた「初診日」から1年6カ月後と定められているためです。しかし、震災直後で初診日のカルテが残されていないケースもあり、手続きが混乱することも予想されています。

障害年金の申請に必要な医師の診断書などが、震災直後の病院や診療所・仮設の医療機関の混乱した状況で散逸したり所在が不明になるなどし、初診日が確認できないケースが想定されます。

こうした場合、レシートや診察券の記録などで「客観的に初診日を証明していくことになる」(厚生労働省年金局事業管理課)とのことです。社会保険労務士総合研究機構の深澤理香氏は「震災の混乱は、認定の際に十分加味されるだろうが、時間とともに、証明しづらくなる恐れもある」と、早めの請求を呼びかけています。

障害年金は、傷病による障害で仕事や生活に支障がある場合に支給される年金。年金制度への加入や一定の保険料納付割合を超える必要がありますが、 老齢年金と異なり、若年者でも受給できます。障害の程度によって年金額は異なるが、2級の基礎年金額(平成24年度)は78万6500円となっています。

【その他】雇用助成金不正受給で広告会社に744万円返還請求―青森労働局

2012年9月10日、青森労働局は国の中小企業緊急雇用安定助成金約744万円を不正に受給したとして、青森市の広告会社「デルタ総合企画」に全額返還を求めたことを発表しました。

労働局によると、同社が不正に受給したのは、事業活動の縮小で臨時に生じた休業日の賃金の一部を国が負担する助成金制度とのことです。2011年8~12月、休業日を設けたと申請し助成金を受給していましたが、労働局の定期調査で実際は勤務していたことが判明しました。

制度上、不正が1件でも確認されれば助成が全て取り消されるため、労働局は7月4日付で助成金全額の返還を求めました。同社は事実を認めて分割払いに応じる意向を示し、既に79万円を返済しており、完済する見込みもあることから、刑事告訴は見送るとのことです。

助成金制度は、不況で中小企業が事業縮小を余儀なくされる場合でも、人員整理せずに雇用維持できるよう支援する目的で、リーマンショック後、それまでの雇用調整助成金制度を拡充し2008年12月に創設されました。

【年金・医療】要介護認定、11万人超す 福島は原発事故が影響

岩手、宮城、福島3県の沿岸部など42自治体で、要介護認定を受けた人が震災前の平成22年3月末と比べ約1万2千人(12%)増え、今年6月末時点で11万39人となったことが9月8日に明らかになりました。原発事故の影響が深刻な福島県では2万9808人(10年3月比で17%増)。最も増えたのが 全町避難が続く大熊町で50%増、次いで楢葉町の40%増でした。

認定増加は避難生活の長期化による高齢者の体調悪化が要因とみられ「震災で高齢化が加速した印象がある」(宮城県七ケ浜町)。仮設住宅での不自由な暮らしで心と体の機能が低下する「生活不活発病」の発症も目立つそうです。

一方で、岩手県釜石市の担当者は「被災高齢者の生活環境は激変しており、認知症など重度介護者の増加が懸念される」と指摘しています。

【労働経済】ヨーカ堂、4店でパート9割実験 社員半減など正式表明

セブン&アイ・ホールディングスは9月8日、傘下のイトーヨーカ堂で、平成27年度をめどに従業員のパート比率を9割に高め、約8千600人の正社員を半減する方針を正式に表明ました。合わせてパート社員を新たに約7千人採用し、パート社員の比率を現在の75%から90%に引き上げます。それにより、27年度の人件費を約100億円削減。スーパー業界の低価格競争が激化する中、人件費抑制で経営の改善化を図ります。

正社員の削減は、新規採用の抑制とグループ内の配置転換などで実施する。希望退職者は募らない方針です。HD傘下のコンビニエンスストアのセブン-イレブ ン・ジャパンや百貨店のそごう・西武に配置転籍させ、フランチャイズ加盟店の店長や商品開発部などマネジメント業務に活用します。

また、パート社員は、27年度までに約3万6千人に増やします。主に売り場の接客や生鮮食品の加工業務を担当させ、高い技能を持つ優秀なパート社員には昇給のほか、店長などに登用する制度も設けるようです。
パートの採用拡大により27年度の総従業員数は4万5千人と現在より約2千500人増えるが、人件費は約7%減の1,330億円になる見通しです。

正社員の削減はグループ会社内の他社への転籍や、採用抑制によって実現し、希望退職は実施しない方針です。

スーパー業界は、消費者の節約志向の高まりで価格競争が激化していることや、出店を拡大させているコンビニなどに客足を奪われ苦戦を強いられています。 ヨーカ堂も24年3~5月期の営業利益が前年同期比57・3%減の23億円と低迷しており、人件費削減や不採算店舗の閉鎖などで経営体質の改善を急いでい るようです。

【その他】胆管がん、労災認定検討会が初会合

印刷会社の元従業員らが相次いで胆管がんを発症した問題で、厚生労働省は6日、発症者や遺族から申請された労災認定を判断する専門家の検討会の初会合を開きました。検討会は厚労省労災補償部長の私的懇談会で、病理学や内科学、公衆衛生学などの専門家8人で構成されています。病気の因果関係を検討し、 認定が可能かどうかを判定します。これをもとに、申請を受けつけた各地の労働基準監督署が最終判断をします。

発症との関連が指摘されている化学物質は「ジクロロメタン」と「ジクロロプロパン」。胆管がんと化学物質の関係については、大阪市立大の教授を中心とした厚労省研究班が疫学調査を進めているが、調査期間は2014年末までで結論に時間がかかる可能性があります。

厚生労働者は申請者の早期救済を図るため、研究班の結論をまたずに検討会で労災認定を判断することにしました。死亡後5年を過ぎ、労災申請上の時効が成立した人もいるが、同省は時効の起算点についても検討しています。

【労働経済】パートタイム労働者の不満 大幅減少

厚生労働省の平成23年パートタイム労働者の実態調査によると、仕事に不満や不安を持つ人の割合は54.9%と、18年に実施した前回調査に比べ9ポイント減と大幅に減少しました。調査は23年6月の状態について、パート労働者1万235人が回答しました。

不満・不安の内容で最も多いのは「賃金が安い」の49.6%ですが、前回調査に比べ12.5ポイント減少しました。「福利厚生が正社員と同じ扱いではない」は4ポイント低下の12.2%で、「昇進機会に恵まれない」も1.5ポイント低下の8.9%となりました。

増加した項目では「仕事がきつい」は26.1%と1.6ポイント増え、「職場の人間関係が良くない」は12.3%と、前回(6.7%)の倍近くに増加しました。