就職を目指す大学生に中堅・中小企業で3カ月ほど有給で働ける場を提供する産学の取り組みが動き出しました。沢田秀雄エイチ・アイ・エス会長ら企業経営者が中心となって「就職を機に世界と人生を考えるためのワークプレイスメント推進協議会」を旗揚げしました。英国発祥の「ワークプレイスメント」という就業体験型学生派遣の普及を目指しています。
協議会の委員には沢田氏のほか孫正義ソフトバンク社長、村上憲郎グーグル日本法人前名誉会長らが名を連ね、委員長には寺島実郎多摩大学学長が就きました。
具体的には学生寮などを運営する学生情報センター(京都市)の人材派遣子会社ナジック・アイ・サポート(同)が、希望する大学生を中堅・中小企業に派遣し、従業員と同じ仕事を3カ月程度経験します。「短期アルバイトや無償のインターンシップでは経験できない就業体験ができる」(同社)といい、 2015年3月末までに1万社に3万人の派遣を目指します。
協議会が中心となり11月に中堅・中小企業約150社を集めた合同企業説明会を開きました。参加企業は「意欲の高い学生を受け入れたい」としており、働きぶりをみて優秀な人材の採用につなげたいと期待しています。
また「安定志向の学生や親に今の就職環境を認識してもらう」(寺島委員長)目的で、委員長と各委員との対談番組を今月からBSデジタル放送のBS12で放映する予定です。
リクルートワークス研究所によると、13年春卒の求人倍率は従業員5000人以上の企業で0.60倍と狭き門の一方、300人未満の企業は3.27倍。ミスマッチを解消するためには就業経験などを通じ、優良企業を見極める目を養ってもらうことも課題の一つです。