厚生労働省は11日、AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、厚生年金基金の運用規制に関する対策をまとめました。運用がリスクの高い商品に偏らないようにするため、株式や債券など資産ごとの構成割合に関する計画の策定を、各基金に義務付けます。また、運用方針を決める資産運用委員会に学識経験者や運用経験者の登用も義務付けるとしています。罰則規定はありませんが、厚労省は違反が発覚した厚年基金に対しては指導を行います。省令や通知を見直し、今秋から順次実施する方針です(多くは来年度から適用)。
AIJ問題では、年金資産の半分を同社に預け、被害の拡大を招いた基金もありました。分散投資を努力義務とする現行の運用指針が守られてないことから、各基金に対し、特定の運用受託機関に過度の資産を預けないなど、適切な運用方針を定めるよう求めました。
一方、厚年基金の財政難への対応策は、年内を目途にまとめます。6月に厚労省の有識者会議がまとめた改革案に基づいて、社会保障審議会年金部会で詳細を詰めます。
解散時に債務負担をどの程度軽くするか、予定利率を引き下げたときに必要となる掛金(保険料)の引き上げを猶予するかなどの方法を話し合います。有識者会議で結論が出なかった退職者(OB)が受け取る年金の減額基準緩和も課題としています。
財政問題の対応は厚生年金保険法の改正が必要になる項目が多く、厚労省は来年の通常国会に法案を提出する予定です。