【労働経済】医療・環境などで雇用480万創出 「日本再生戦略」原案を提示

政府は11日、国家戦略会議(議長・野田佳彦首相)を開き、野田政権の経済成長戦略である「日本再生戦略」の原案を提示しました。環境や医療、観光など11の戦略分野で38の重点施策を掲げ、2020年までに規制緩和などを通じて100兆円超の新市場を創出し、480万人以上の新たな雇用を生み出すことを柱としています。ただ、目標実現に向けた具体策は乏しく、少子高齢化や新興国との競争といった課題を克服する道筋は不透明といえます。

医療・介護分野では先進的な医療技術の開発などで20年までに新たに50兆円の市場と284万人の雇用を創出。環境分野でも20年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を最大50%に高め、50兆円超の市場を開拓して140万人の雇用を生み出すとしています。観光分野では日本を訪れる外国人旅行者を年間2500万人に増やし、56万人の新規雇用につなげたい考えです。

少子高齢化や人口減少が世界でも前例のないスピードで進行し、国内市場は縮小。円高などで輸出産業の競争力も低下して、国内産業の空洞化にも拍車がかかっています。その結果、雇用や所得環境も悪化し、消費を冷え込ませてデフレが長引いています。

ただ、11の戦略分野はいずれも目標達成に向けた具体策を欠いています。例えば雇用で若者フリーターを大幅に減らす対策は新卒者向けの「大学とハローワークの連携」だけ。より深刻な既卒者向けは乏しいといえます。

■11日発表した日本再生戦略の原案(抜粋)
□医療・介護
20年までに医療・介護関連の分野では、先進的な医療技術の開発支援や規制緩和などで新市場50兆円、雇用284万人の創出
□雇用・人材
20~34歳の若者就業率を20年に77%とし、10年比で3.4ポイント引き上げる。世界で活躍する「グローバル人材」の育成を目指し、大学の秋入学の実現に向けた環境整備を進める