厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は25日、2012年度の地域別最低賃金の引き上げ幅の「目安」をまとめました。厚労省の試算では、時給で示す最低賃金の全国平均は前年度比7円増の744円に上昇しますが、上げ幅は東日本大震災の影響を受けた11年度並みの低水準。最低賃金での収入が生活保護の支給水準を下回る「逆転」現象は、少なくとも北海道と宮城県で残る見通しです。協議では労使の思惑の違いもはっきりと表れ、逆転現象解消の難しさが浮き彫りになりました。
11年度は震災の影響で7円増と上昇幅が5年ぶりに10円を割り込みました。12年度は景気に持ち直しの動きがあるものの、依然厳しい中小企業の経営状況などに配慮し、引き上げ幅が前年度並みになったとみられます。
最低賃金が生活保護を下回る「逆転」は現在、東京都など11都道府県で発生。議論の末、中間的立場にある公益委員が取りまとめる形で、逆転している11都道府県について「原則2年以内の解消を目指す」方向を確認。東京都や大阪府などについては「すみやかに解消を図る」、北海道と宮城県については 「更に1年を加えた年数(3年)を踏まえる」とし、期限の「縛り」が緩やかになりました。実際の解消時期は地域の審議会に委ねられたといえます。
そうした結果を反映し、11都道府県の目安額も前年度のようにきっちりした数値ではなく幅ができました。9都府県では、その「上限」の額が引き上げられてようやく生活保護水準に届く設定となり、残る北海道と宮城県はなお逆転が解消されない額にとどまりました。
同審議会は26日、厚労相に目安を答申。その後、各都道府県の労使代表らが審議会を開き、目安を踏まえて地域ごとの最低賃金額を決めます。実際の改定は10月ごろ実施される見通しです。