【その他】アスベスト「石綿肺」労災、936事業場を公表

厚生労働省は28日、発がん性のあるアスベスト(石綿)で健康被害を受け、2011年度に労災認定などを受けた人が働いていた936事業場の名前を公表しました。今回の公表は前年度より50事業所多く、初公表は全体の7割を超す697事業場でした。石綿関連疾患の中で石綿肺は比較的多くの石綿を吸うことで発症するとされており、周辺住民にも注意喚起が必要として、患者団体が実態調査を求めていました。 

11年度に労災認定を受けた人は1105人。うち164人は認定時に亡くなっていました。今回の集計から、じん肺で労災認定された人のうち、石綿肺と判断された人数が加わっています。石綿肺は、従来は石綿疾患に集計されていませんでした。厚労省は患者団体の求めなどに応じて、労災認定が年間約800件あるじん肺について11年度から、エックス線写真などの医学資料や石綿の取り扱い状況を調査。その結果、個人事業主のため非公表の3人を含め、68人の労災認定者が石綿肺と分かりました。

これとは別に、労災の時効を過ぎた遺族には石綿健康被害救済法(石綿新法)に基づいて特別遺族給付金が支給されており、その認定数は39人でした。 

症状別では、肺がん423人▽中皮腫555人▽良性石綿胸水42人▽びまん性胸膜肥厚51人▽石綿肺73人。認定者数は累計で、1万82人にのぼります。 

認定者の勤め先は計1005事業場。事業場名が分からなかったり自営業だったりしたものは除きました。05年の初公表からの累計は6283事業場となりました。 

石綿の使用は現在禁止されていますが、1990年代まで建材などとして広く使われていました。石綿関連の病気は、石綿を吸い込んでから30~40年後に発症することが多く、今後も発症者の増加が予想されます。