会計検査院は30日、事業主が従業員の給料から天引きした厚生年金保険料を納めなかった場合に国が肩代わりする制度について調べたところ、制度がで きて6年以上たつのに、国が未納事業者に法律上の保険料請求を一度もしていないことを明らかにしました。厚生労働省が請求権の具体的な行使方法を定めてい なかったことが原因で、一部は時効の可能性もあるということです。
年金特例法は、経営難などの理由で保険料を納めなかった時などに、従業員の年金を救済するため、2007年に施行されました。国が未納分を肩代わりした うえで、従業員に代わって民事上の請求権を取得し、事業者が納付しなければ、保険料を納めなかった事業主に督促した上で、法的に請求すると規定したもので す。
会計検査院は、国会の要請を受けて年金記録問題について包括的な調査を行っていました。未納分は13年度末時点で約30億円あり、国が立て替えたまま請求していない額が6年間で計約21億5,800万円にのぼります。
また、この調査により、専業主婦の年金に関する655件の事務処理ミスなども判明しました。会社員の夫の離職などで、本人に保険料納付義務がない 国民年金の「第3号被保険者」の資格を失いながら、納付義務がある「第1号」への切り替え手続きをせず転居した専業主婦ら655人について、所管の112 の年金事務所が平成23年以降、資格の変更処理などを怠っていたということです。