miyota のすべての投稿

いまにも落ちてきそうな空の下で

「人事評価制度を導入したい」という相談を受けることがあります。

近年では、行き過ぎた成果主義を是正するものとして、業務遂行度や目標達成度などの「結果」だけでなく、目標達成までの「過程」も評価することが大切だと言われています。
私も、人事制度作成のお手伝いをする際には、成果につながる行動特性を人事考課に取り入れた「コンピテンシー評価」をお勧めしています。

『ジョジョの奇妙な冒険』という漫画が昔から好きなのですが、その中でも印象的なのが、第5部にでてくる表題のエピソードです。
決して見つからないかもしれないのに、殺人犯の指紋がついているはずのガラス瓶の破片を必死に探している警官のセリフがとても印象に残っています。
なぜ報われないかもしれないのに苦労を背負い込むのか?と尋ねられ、警官はこう答えます。

「そうだな…わたしは『結果』だけを求めてはいない」
「『結果』だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ…近道した時真実を見失うかもしれない」「やる気も次第に失せていく」
「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている」「向かおうとする意志さえあれば、たとえ今回は犯人が逃げたとしても、いつかはたどり着くだろう?」「向かっているわけだからな…違うかい?」

結果ももちろん大切ですが、それだけで判断しないこと。経営にも大切なことなのではないかと思います。

気球に乗って

プロフィールでも書かせていただいておりますが、大学生時代に熱気球サークルに所属していました。

全国各地で開催される大会に参加したり、週末は琵琶湖周辺でフライトを行っていました。
気球に乗っていたといっても、パイロットのライセンスを持って自ら操縦していたわけではありません。
気球は一人では飛ばすことができません。セッティングからインフレ(風船を膨らます作業)にも人手が必要ですし、着陸場所も風まかせなので、当初の狙い通りにいかない場合もあります。なので、着陸場所を予想してあらかじめ車で回収班(チェイサー)が先回りして、地上の状況など指示を出したりします。

もちろん、クルーとして気球に乗り込むこともありますが、私はこのチェイスという役割が大好きでした。
なかなか目立つことはなかったですが、同期のパイロットに「みよっちがいてくれて安心に飛べる」と言われることに誇りを持っていました。

例えるなら、気球は企業。そしてそれを操縦するパイロットは経営者。その気球に乗ってパイロットをサポートするのが従業員といったところでしょうか。
気球に乗っていると、様々なトラブルがあります。急な強風に流されたり、なかなか降りられるポイントが見つからず上空をウロウロしたり…。
そんな時、気球が少しでも正しい目的地に近づけるように、地上からパイロットを支える存在がチェイサーなのではないでしょうか。

地味かもしれませんが、地上から気球(企業)を目的地まで導く存在。チェイサー(社労士)としてそんな役割を果たせればいいなと思っています。

【働き方改革】アパレル大手で子育て社員の同僚に手当

「アパレル大手の株式会社レナウンが、平成30年3月から、子育て中で短時間勤務の従業員の同僚向けに、月3,000円の手当を支給することを発表した」といった報道がありました。

同社の発表によると・・・
同社では、育児休職から復帰する販売員に対し、短時間勤務と、始業時間・就業時間の繰上げ・繰り下げを、それぞれ小学校卒業まで取得できる育児援助施策を実施していますが、同僚の販売員は、子育てをする販売員が不在の時間帯のフォローをしたり、勤務シフト、休みなどを融通したりする必要があるため、子育てをする販売員がいない職場と比べると、勤務の調整などが大変であるという実態がある。
そこで、その負担を考慮し、子育てをする販売員を応援する同僚の販売員を「ほほえみサポーター」として、手当を支給することにしたとのことです。

金額はさておき、こういう手当があることで、職場の雰囲気が良くなるかもしれませんね。

同社では、さらに、「ワークライフバランス休暇の導入」、「テレワーク勤務の導入」、「年間休日数の増加と年間総労働時間の削減」を実施するとのことです。

参考になる取組みが発表されていますので、そのリンクを紹介させていただきます。
<「ほほえみサポーター手当て」3月1日よりスタート(株式会社レナウンHP)>
≫ http://www.renown.com/news/corporate-news/180219.html

小さな習慣

何かを新しく始めようとして、挫折した経験はありませんか?

例えば、「毎朝5時に起きよう」「ダイエットしよう」「社労士試験の勉強をしよう」などなど…。
私にとっては、「ブログの更新」がまさにそれでした。
今までも、何度か挑戦してきたのですが、三日坊主に終わっていました。原因を考えてみると、「何か面白いことを書かなければ…!」とウケ狙いに走って自分らしくない文章を無理して書いていたこと、そして、「毎日更新しなければ…!」と、勝手に自分に課していたプレッシャーが大きかったのかなと思います。

『小さな習慣』という本を最近読みましたが、何かを習慣化するときに効果的なのは、目標を「ばかばかしいくらい小さなものにする」ことだそうです。
著者のスティーブン氏の場合は、過去10年間にわたり運動を習慣にすることに失敗していたのですが、試しに「毎日腕立て伏せを1回だけ行う」ことを日課にしたところ、思っていたほど大変ではないことに気付き、最終的には30分の筋トレに発展したそうです。

実際にこの本を読んでから、自分でもいくつかの目標を立ててみました。
・読書1日 2ページ
・寝る前の瞑想 1分間
・最低1つ、身の回りのものを片付ける

ここで大事なのは、目標は小さいままでなければいけないということです。無意識のうちに目標が高くなってしまうと、期待感が増えて、行動のハードルが上がってしまいます。

本日より、新たな目標として、
・ブログのアウトプット 10文字

を加えます。

ばかばかしい目標ではありますが、これが最終的に大きな変化をもたらすと信じて。とりあえず気楽に更新していきたいと思います。

改めてのご挨拶

ホームページ開設以来、5年間ほったらかしにしていたブログでございますが、一念発起、再開させていただきます。

改めまして、社会保険労務士の御代田裕介(通称みよっち)と申します。

法改正等の情報は、同サイト内の「事務所からのお知らせ」にて、お伝えしていきます。

こちらのブログでは、実務を通して感じたことやプライベートなことなど、社労士の人柄が見える内容にしていければと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

【労働法】協会けんぽの平成30年度の保険料率が決定

協会けんぽから、平成30年度の保険料率が決定した旨のお知らせがありました(平成30年2月9日公表)。

具体的には、平成30年3月分(4月納付分)から適用される医療保険分の一般保険料率(都道府県単位保険料率)および介護保険料率が公表されました。

都道府県単位保険料率については、引き上げとなるのは18支部、据え置きとなるのは5支部、引き下げとなるのは24支部となっています。

最寄りの都道府県における率をご確認ください。

介護保険第2号被保険者(40歳以上65歳以上)について課されることになる介護保険料率(全国一律)も変更されますので、合わせてご確認ください。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成30年度の保険料率の決定について>
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/home/g3/cat330/sb3130/h30/300209

【労働法】外国人技能実習生らに違法な残業などで労基署が書類送検

「外国人技能実習生らに違法な残業をさせたなどとして、青森労働基準監督署が、平成30年2月8日、労働基準法および労働安全衛生法違反の疑いで、青森市の水産加工会社と同社の社長、総務部長を書類送検した」といった報道がありました。

同署によると、同社の従業員155人のうち、26人が外国人実習生でその多くに違法な時間外労働が確認され、このうち時間外労働が月100時間を超えた15人を立件対象としたとのことです。

同社は36協定を届け出ていたそうですが、法で定めた手続きを踏まず、社長が労働者側の代表を一方的に選んでおり、協定は無効だったとのことです。

36協定の締結は適切に行う必要がありますね。

〔参考〕関係リンク

<36(サブロク)協定のない残業は法違反です!!(厚労省リーフレット)>

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/170307-1.pdf

<36協定の締結当事者となる過半数代表者の適正な選出を(厚労省リーフレット)>

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/36kyotei.pdf

また、同社は、労働安全衛生法で定められた安全委員会と衛生委員会の設置義務があるにもかかわらずこれを設置せず、同署の立入調査の際、偽造した委員会の議事録を示し「委員会を毎月開いている」と虚偽の説明をした疑いもあるとのこです。

安全委員会・衛生委員会の設置など、労働安全衛生法で求められている安全衛生管理体制もしっかり整える必要がありますね。

〔参考〕関係リンク

<安全衛生に関するQ&A(厚労省HP)>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/faq_index.html

※「安全衛生管理体制関係」についてもまとめられています。

なお、青森労働局の過重労働特別監督監理官は、「今回の件では外国人技能実習生が含まれているが、違法な状態があれば、日本人、外国人の区別なく対応する」と話したとのことです。

違法な状態がないか、不安な点があれば、上記の〔参考〕のリンクなどでご確認ください。

【判例】通勤にも安全配慮義務 過労事故死として和解勧告(地裁支部)

「徹夜勤務明けにバイクで帰宅途中、事故死した新入社員の両親が、過労による睡眠不足が原因として勤務先に損害賠償を求めた訴訟で、平成30年2月8日に、横浜地裁川崎支部が、通勤中の事故にも企業側に安全配慮義務があるとして「過労事故死」と認めた上で、和解勧告した」といった報道がありました。
同訴訟を担当した裁判長は、和解勧告で、事故の原因は居眠りだったとし、過労状態を認識していた企業側が公共交通機関を使うよう指示するなどして事故を避けるべきだったと指摘。和解金の支払いに加えて、終業から次の始業までの休息の確保(11時間以上)、仮眠室の設置、深夜タクシーのチケット配布など、事故後に同企業が講じた再発防止対策に引き続き取り組むことを和解条件としたとのことです。
また、過労による事故死が多数発生している可能性にも言及し、「本件を契機に「過労事故死」の労働災害の事故の類型が公になり、今後、過労死、過労自殺とともに社会全体として防止に向けた対策が十分に推進されていくことが期待される」とも述べたとのことです。

画期的な和解の決定だったとして、多くの報道機関が報じています。
企業としては、このような「過労事故死」のおそれがある場合には、安全配慮義務があることを意識して、適切な対策を講じる必要がありそうです。
〔参考〕安全配慮義務
『労働契約の内容として具体的に定めずとも、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者(企業)は、労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っている』とするもの。
「陸上自衛隊事件(最高裁昭和50 年2月25 日第三小法廷判決)」や「川義事件(最高裁昭和59 年4月10 日第三小法廷判決)」などの最高裁判例で確立され、現在では、法律にも、使用者が当然に安全配慮義務を負うことが規定されています(下記の「労働契約法第5条」)。
<労働契約法第5条>
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

【労働法】雇用保険の離職証明書の有期雇用労働者の離職理由の取扱いを変更

東京労働局などの労働局から、「有期雇用労働者の離職理由の取扱いが変わります」というお知らせがありました。

雇用保険の被保険者である労働者が離職した場合、事業主は、雇用保険被保険者資格喪失届に、原則として「離職証明書」を添付してハローワークに提出することとされていますが、この離職証明書の離職理由欄の記載方法について変更が行われました。

契約更新上限がある有期契約の上限到来による離職について、労働契約法の一部を改正する法律の一部施行から5年を経過する(無期転換が本格化する)ことを踏まえ、その離職理由の取扱いにつき、改めて検討、整理を行い、平成33年度末までの間の取扱いを変更することにしたとのことです。

具体的には、「平成30年2月5日以降の有期労働契約の更新上限到来による離職」を対象として、次のような変更が行われました。

●契約更新上限(通算契約期間や更新回数の上限を言います。)がある有期労働契約の上限が到来したことによる離職の場合で、次のいずれかに該当する場合、離職証明書の離職理由欄に、その旨が分かる記載をする。

① 採用当初はなかった契約更新上限がその後追加された方、又は不更新条項が追加された方……上限追加

② 採用当初の契約更新上限が、その後引き下げられた方……上限引下げ

③ 基準日(平成24年8月10日)以後に締結された4年6か月以上5年以下の契約更新上限が到来したことにより離職された方(例外あり)……4年6か月以上5年以下の上限

リーフレットの終わりには、「離職された方の給付内容に影響がありますので、適切な記載をお願いいたします。」と記載されています。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<有期雇用労働者の離職理由の取扱いが変わります>
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0147/0068/20182616039.pdf

【労働法】労災保険率の改定などが正式決定(改正省令を官報に公布)

「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成30年厚生労働省令第13号)」が公布されました(平成30年2月8日付けの官報に公布)。

平成30年4月から労災保険率の改定などが行われる予定であることはお伝えしていましたが、その内容が正式に決まりました。

改正の概要(いずれも、平成30年4月1日施行)

1 平成30年4月から適用される新たな労災保険率が設定されます。
これにより、全業種の平均料率は 4.5/1,000となります。
2 社会復帰促進等事業等に必要な費用の限度額が引き上げられます。
3 家事支援業務に従事する方について、労災保険の特別加入制度の対象に追加されます。
4 「労働者災害補償保険法」に基づく介護(補償)給付と、「炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法」に基づく介護料の最高限度額及び最低保障額が引き上げられます。

なお、平成30年4月1日から、「時間外労働の上限規制等の円滑な移行のため、中小企業事業主に対して、助成金の内容を拡充」という改正の予定もありますが、その内容については、今回公布された省令には盛り込まれませんでした。これについては、平成30年度予算の成立後に、別途、改正省令が公布されることになると思われます。

改正省令について、詳しくはこちらをご覧ください。
<労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成30年厚生労働省令第13号)>
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H180208K0010.pdf

※改正内容について、分かり易いリーフレットなどが公表されましたら、適時紹介させていただきます。